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枕許
「枕許〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
枕許の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
た。どうしてもお前達を子守《こもり》に任せておけないで、毎晩お前たち三人を自分の
枕許や、左右に臥《ふせ》らして、夜通し一人を寝かしつけたり、一人に牛乳を温めてあ....
「星座」より 著者:有島武郎
気持ち悪く手の平に感じた。
川音がしていた。
何時ごろだろうと思って彼はすぐ
枕許のさらし木綿《もめん》のカーテンに頭を突っこんで窓の外を覗いてみた。
珍ら....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
……あの、先刻はまた、」と頭を下げた。 寝床はその、十畳の真中に敷いてあった。
枕許に水指と、硝子杯を伏せて盆がある。煙草盆を並べて、もう一つ、黒塗|金蒔絵の小....
「古狢」より 著者:泉鏡花
帯に、袖のない夜具だから、四布の綿の厚いのがごつごつ重くって、肩がぞくぞくする。
枕許へ熱燗を貰って、硝子盃酒の勢で、それでもぐっすり疲れて寝た。さあ何時頃だった....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
見懸けぬ、と後での話。……」 三十二 「日が経ってから、叔母が私の
枕許で、さまでに思詰めたものなら、保養かたがた、思う処へ旅行して、その唄を誰かに....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
膝栗毛を差覗き、 「しかし思いつきじゃ、私はどうもこの寝つきが悪いで、今夜は一つ
枕許の行燈で読んでみましょう。」 「止しなさい、これを読むと胸が切って、なお目が....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
しだって、叔母さんが咎めた時、――私はお母さんの許へ行くの―― そう云ってね、
枕許へちゃんと坐って、ぱっちり目を開けて天井を見ているから、起きてるのかと思うと....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
たと思うと、もう楽なもの。 若い人が、ずかずか入って、寝ている人間の、裾だって
枕許だって、構やしません。大まかに掻捜して、御飯、お香こう、お茶の土瓶まで……目....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
鼻の爺は、それはそれは空恐ろしいほど、私の心の内を見抜いていて、日に幾たびとなく
枕許へ参っては、 (女、罪のないことは私がよう知っている、じゃが、心に済まぬ事が....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
太郎と自分が乗って…… 今、舷へ髪の毛が。 「あッ、」と声立てて、浦子は思わず
枕許へすッくと立ったが、あわれこれなりに嫗の針で、天井を抜けて釣上げられよう、と....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
つ瞳が重っている。 そのせいであったろう。浅草で母親が病んで歿る時、手を着いて
枕許に、衣帯を解かず看護した、滝太郎の頸を抱いて、(お前は何でもしたいことをおし....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
場所が場所で、扱う人が扱う人だけ、その時は今思うほどでもなかったが、さてこう
枕許にずらりと並べて、穏かな夢の結ばれそうな連中は、御一方もお在なさらぬ。 あ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
。 「あんなものを巻着けておいた日にゃあ、骨まで冷抜いてしまうからよ、私が褞袍を
枕許に置いてある、誰も居ねえから起きるならそこで引被けねえ。」 といったが克明....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
と謂って、お夏が半蔀を愛吉に下さした、その内に蔵人は旧の閨、煙管もそっと、母親の
枕許へ、それで事済となったのであるが、寐つきなり殊に病の疲れ、知らぬと思っていた....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
降りて来た。お夏の跫音ではない。うとうとした女房、台所の傍なる部屋で目を覚すと、
枕許を通るのは愛吉で。憚りかと思うと上框の戸を開けた。 (おや、帰るんですか。)....