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林立
「林立〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
林立の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
は目を見張って改めて現状を見直した。煌々たる電灯の光に、墓石が白く闇にうき出して
林立しているのが見えた。亡者たちが、「わしらの眠っている下を掘るのですよ、わしら....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
かけつらねてある。劇場の木戸まえには座主や俳優に贈られたいろいろの幟が文字通りに
林立している。その幟のあいだから幾枚の絵看板が見えがくれに仰がれて、木戸の前、茶....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ピリ感じていたと云うのは、鐘楼らしい中央の高塔から始めて、奇妙な形の屋窓や煙突が
林立している辺りから、左右の塔櫓にかけて、急峻な屋根をひとわたり観察した後に、そ....
「火星兵団」より 著者:海野十三
もなく撃ちまくる。そのうちに、火星兵の誰かが、これを知らせたものと見え、宇宙艇が
林立する本隊の方から、火星兵部隊がどっと押しだして来た。
ちょうどその時、大江....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
節風前によくあるクッキリと晴れた日で、氷河の空洞のほんのりとした水色や森のように
林立する氷の塔のくぼみが……美麗な緑色を灯したところは灯籠のように美しい。それも....
「伯林の降誕祭」より 著者:岡本かの子
の吹雪を絶えずサラサラサラ撒きちらして居た。それが終ると立樹の真黒な枝を突張った
林立となる。雪がもう直ぐに来るのです――そしてクリスマス。 バルチック海から吹....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
の色は、もはやとうていこの世のものとは見えぬであろう。背後の檣も、前にある煙突の
林立も、およそ文化といい機械という雑色のなかにあってさえも、この沈鬱の気を和らげ....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
い大きな工場は、いずれも河の東岸にあって、巨大の煙突、急傾斜の屋根が、空を蔽うて
林立し、重い起重機を動かす音や猛獣のような汽笛の音や、のんびりした支那流の掛け声....
「多神教」より 著者:泉鏡花
む。 神職 これ、婦。 お沢 (声の下に驚き覚め、身を免れんとして、階前には衆の
林立せるに遁場を失い、神職の手を振りもぎりながら)御免なさいまし、御免なさいまし....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
紗が次々に繰り上って行く。 場面は深遠なる竹林の奥。あたりは一面の孟宗竹が無限に
林立し、夕陽が竹の緑に反映して、異様に美しい神秘境を醸し出している。あたりの空気....
「島原の夢」より 著者:岡本綺堂
灯がかけつらねてある。劇場の木戸まえには座主や俳優に贈られた色々の幟が文字通りに
林立している。その幟のあいだから幾枚の絵看板が見えがくれに仰がれて、木戸の前、茶....
「西航日録」より 著者:井上円了
す。ただ清流に乏しきを遺憾とするのみ。ときにまた一作あり。 船泊南溟第一関、連檣
林立幾湾湾、晩雷送雨天如洗、涼月高懸赤道山。 (船は南の果てにある枢要の港シンガ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
ンは台湾南部とともに熱帯圏内にあれば、わが内地の七月ごろの気候なり。船檣の湾内に
林立せるありさまは、東洋第一の要港たるの名に背かず。海上より岸頭を望むに、四階、....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
るほど希望にふくらんでいた。だが淡路島や明石を過ぎて兵庫の棧橋につくと、まず港に
林立する帆柱の数にどぎもを抜かれた。港におり立って初めて見る都会の風景に目を奪わ....
「新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
よく生ビールをのみに行ったもので、よくそこで、高村光太郎君に会いビールのコップを
林立させたものであった。高村君はあの温容をもって黙々としてただビールをのんでいた....