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果ては
「果ては〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
果てはの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
る不思議な響きが潜んでいた。葉子は吸い取られるようにその響きに心を集めていたが、
果ては寂しい、ただ寂しい涙がほろほろととめどなく流れ出るのだった。
一家の離散....
「或る女」より 著者:有島武郎
自分にまくしかかって来る将来の運命をひたすらに黒く塗ってみたりしていた。それでも
果ては頭もからだも疲れ果てて夢ばかりな眠りに陥ってしまった。
うつらうつらとし....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
張り上げられた。しかもその糺問《きゅうもん》の声は調子づいてだんだん高められて、
果ては何処《どこ》からともなくそわそわと物音のする夕暮れの町の空気が、この癇高《....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
の力は磐石糊のように腹の底にひっついていて、どんなことしたって離れそうもしない。
果てはつかれてぼんやりした気分になってると、 「省作省作、えい湯だど。ちょっとも....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
を感じたからだった。僕はこの悪性の遊戯に夢中になっている彼女の頬が次第に紅潮し、
果ては一種のオルガスムスに似た微かな痙攣がマスミのしなやかな肩から上膊のあたりに....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
しょう、……中には、口にするのも憚る、荒神も少くはありません。 ばかりでない。
果ては、その中から、別に、綺麗な絵の蝋燭を一挺抜くと、それへ火を移して、銀簪の耳....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
しても立っていることが出来ない。我れ知らず身体が縮こまってその勢に押されて揚句の
果ては膝を突いてしまう。 「奴隷根性!……」と長い著物を著た人はさげすんでいたよ....
「些細な事件」より 著者:井上紅梅
えるくらいであった。しかもそれはわたしに対して次第々々に一種の威圧になりかわり、
果ては毛皮の著物の内側に隠された「小さなもの」を搾り出そうとさえするのである。 ....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
夕方に行った。新しく来た動物を見たり、猿がいろいろないたずらをするのを見て喜び、
果ては涙ぐむことさえもある。 また金曜日の夕方に挨拶し、友人が来ると、「よくお....
「寡婦」より 著者:秋田滋
でもない熱狂的なことをさせたり、狂気の沙汰とも云うべき献身的なことをやらせたり、
果ては犯罪をさえ犯させるのでした。この人たちにとっては、それは、ある魂にみる信仰....
「軽女」より 著者:上村松園
元禄十五年の春ころから、酒に親しみ出し、祇園に遊んで放縦の日々を送るようになり、
果ては最愛の、貞淑のほまれ高い内室までも離別して、豊岡の石束家へ返してしまった。....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
て田舎に帰ったが、家計が困難で米塩の料は尽きる。ためにしばしば自殺の意を生じて、
果ては家に近き百間堀という池に身を投げようとさえ決心したことがあった。しかもかく....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
は覚えず恍惚として夢裡の人となった。元来神は、吾人の見る事の出来ぬ渺漠たるもの、
果ては、広大無限、不可思議の宇宙を造り、その間には、日月星辰山川草木と幾多の潤色....
「西航日録」より 著者:井上円了
が一面に広がり、早起きしてまず百尺の楼台にのぼる。湖の波の上は広々として見れども
果てはみえず、汽笛の声だけが朝もやを破って聞こえてくるのである。) これよりセ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
の行舟は蟻の動くがごとし。 五層楼上望無葉艇翩翩。 (五層の楼の上から一望すれば
果てはなく、広東全市の風と月の鑑賞の権利を一人占めにした思いである。広州の路は碁....