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果実
「果実〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
果実の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
感じた。そして始終張りつめた心持ちと、失望からわき出る快活さとで、鳥が木から木に
果実を探るように、人から人に歓楽を求めて歩いたが、どこからともなく不意に襲って来....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、こんな処には、いつでもこの一条が落ちている、名づけて縁の糸と云う。禁断の智慧の
果実と斉しく、今も神の試みで、棄てて手に取らぬ者は神の児となるし、取って繋ぐもの....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
送り出してから、私はひとりで手広いりんご畑の中を歩きまわった。りんごの枝は熟した
果実でたわわになっていた。ある木などは葉がすっかりに考えた。 とにかく君は妙に....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
凡ての活動に於て、全体として生長するばかりだ。花屋は花を珍重するだろう。果物屋は
果実を珍重するだろう。建築家はその幹を珍重するだろう。然し桜の木自身にあっては、....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
った。食慾を感ずるのは、胃袋が悪いんだろうか、その唆かすような甘い香を持った紅い
果実が悪いのだろうか、どっちだろうかと考えたほどだった。だが、僕は日頃の信念に随....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
なって、知りたいと思っているのだとさとった。それで三根夫はゆうかんに、すぐまえの
果実店の戸をおして、なかへはいった。 「もしもし、このりんごをください」三根夫は....
「心臓盗難」より 著者:海野十三
袋猫々は、おどろきの声を発した。彼は軒下にふしぎなものを見たのだ。 その店舗は
果実店であったが、もちろん戸はぴったり閉じられていたが、カンバス製の日蔽いが陽も....
「すり替え怪画」より 著者:海野十三
ンフ」であった。 これは縦長の画で、題名のとおり三人のニンフが画面に居て、花や
果実のあふれ出てくる宝角という円錐形の筒を抱いているのであった。 この名画を、....
「火薬船」より 著者:海野十三
するするとあがった。 すると、すぐノーマ号から返事があった。 “飲料水、野菜、
果実ノ分譲ヲ乞ウ。高価ヲ以テ購ウ” それを見て虎船長は、 「駄目だ。本船にも、....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
を心から可愛がってくださる人間に枝の一|本や二|本歓んでさしあげます……。』 『
果実を採られる気持も同じですか?』 『私達が丹精して作ったものが、少しでも人間の....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
し得ないとは言われない。が、到底|詐り難きは、各自に備わる人品であり風韻である。
果実を手がかりとして、樹草の種類を判断せよとは、イエス自身の教うる所である。刺の....
「端午節」より 著者:井上紅梅
すればお金をやる」と声明したが、この言葉は彼にとっては非常に恨めしかった。まるで
果実を見せびらかして猿を使うようなものである。それにある大教育家の説得がはなはだ....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
ったが、香椎の山奥で作ったと云う水密桃だの梨だの葡萄だのを市場――筆者の父は青物
果実問屋の親爺であった――へ持って来られていたのをよく知っている。その頃久作さん....
「妖怪学」より 著者:井上円了
尽くれば木枯るる。根をきりたる木も、水に浸しおけばしばらく生じおる。また、諸木の
果実を見るに、いまだ熟せざる前はみな水なり。諸花も同じ。揉み破ればみな水なり。こ....
「鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
回の『於母影』は珠玉を満盛した和歌漢詩新体韻文の聚宝盆で、口先きの変った、丁度|
果実の盛籠を見るような色彩美と清新味で人気を沸騰さした。S・S・Sとは如何なる人....