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枝垂れ
「枝垂れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
枝垂れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
じめしていました。その上隣の荒物屋との境にある、一抱あまりの葉柳が、窓も蔽うほど
枝垂れていますから、瓦にさえ暗い影が落ちて、障子《しょうじ》一重《ひとえ》隔てた....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
。 高瀬川は溝のように細い。が、さすがに川風はあり、ふと忍びよる秋のけはいを、
枝垂れた柳の葉先へ吹き送って、街燈の暈のまわりに夜が更けた。 しかし、十番館の....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
労れていた。間もなく眠りに入ったらしい。 それは奇怪な絵であった。――神代桜の
枝垂れた枝々には、盛り切れないほど花が着いていた。そうしてその花は老いていた。で....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
すので、水があるのを知って、影が光る、柳も化粧をするのである。分けて今年は暖さに
枝垂れた黒髪はなお濃かで、中にも真中に、月光を浴びて漆のように高く立った火の見｜....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
階子が、高く初冬の空を抽いて、そこに、うら枯れつつも、大樹の柳の、しっとりと静に
枝垂れたのは、「火事なんかありません。」と言いそうである。 横路地から、すぐに....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
。」 憤気になると、…… 「舞台へ、靴で、誰、お前は。」 先刻から、ただ柳が
枝垂れたように行燈に凭れていた、黒紋着のその雪女が、りんとなって、両手で紳士の胸....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
に水を浴びていた。 割栗石の鋪石へ一歩靴を踏み出す。すると表の壁の丁度金鎖草の
枝垂れた新芽が肩に当るほどの所で門番のかみさんと女中のロウジイヌとがふざけて掴み....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
。霞ヶ峰の半腹に薄き煙めぐりたり。頂の松｜一本、濃く黒き影あざやかに、左に傾きて
枝垂れたり。頂の兀げたるあたり、土の色も白く見ゆ。雑木ある処だんだらに隈をなして....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
俺の献上の帯が、キューキューと鳴ったのを覚えている。そうしてあの縮緬の帯が、先に
枝垂れた花のように、屏風の上にかけられてあって、なかば眩んでいた俺の瞳に、焼きつ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
つけたのでした。 その家は五間ぐらいでしたが、庭が広くて正面に松の大木があり、
枝垂れた下に雪見灯籠がありました。左と右とにも松があって、それぞれ形の違った石灯....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
あそこをご覧なさい」 青年の指差したのは、真向いの堤に恰も黄金の滝のように咲き
枝垂れている八重山吹の花むらであった。陽は午後の円熟した光を一雫のおしみもなく、....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
の長襦袢のしなやかな裳をこぼれた姿は、脊は高し、天井の黒い雲から糸桜がすらすらと
枝垂れたようで、いや、どうも……祇園の空から降って来たかと思われました。 ――....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
には清正公が祭ってある。北辰妙見の宮、摩利支天の御堂、弁財天の祠には名木の紅梅の
枝垂れつつ咲くのがある。明星の丘の毘沙門天。虫歯封じに箸を供うる辻の坂の地蔵菩薩....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
が仕切れねえで、駆けつけると、案の定だ。 まだ非常線も張らねえのに、お門にゃ、
枝垂れ柳の花火が綺麗に見えましょう。柱は残らず火になったが、取着の壁が残って、戸....
「鰯」より 著者:岩本素白
て居る。ここから人も余り通らない村道を玉川村という方へ向いて行く道傍には、大きな
枝垂れの紅梅などがあって面白いのである。 弘法山の方へ行かずに、橋手前の道を左....