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枝頭
「枝頭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
枝頭の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
い間その部落の空を渡って来る風に吹かれていた。風は柏の小枝を揺《ゆす》って、折々
枝頭の若芽の※《におい》を日の光の中に煽り立てた。が、彼にはその風が、彼の耳元を....
「星座」より 著者:有島武郎
川沿いを溯《さかのぼ》っていった。
風は死んだようにおさまっている。それだのに
枝頭を離れて地に落ちる木の葉の音は繁かった。かさこそと雑木の葉が、ばさりと朴《ほ....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
。繁《しげ》き若葉を洩《も》る日影の、錯落《さくらく》と大地に鋪《し》くを、風は
枝頭《しとう》を揺《うご》かして、ちらつく苔《こけ》の定かならぬようである。甲野....
「高島異誌」より 著者:国枝史郎
時、遂々恐ろしい没落が純八の身の上に落ちて来た。 それは後園の藤袴が空色の花を
枝頭に着け、築山の裾を女郎花が、露に濡れながら飾るという如何にも秋めいた日のこと....
「黴」より 著者:徳田秋声
ち着けていいか解らなかった。ちょうど長火鉢のところから見える後庭の崖際にある桜の
枝頭が朝見るごとに白みかかって来る時分で、落着きのない自分の書斎を出ると、気紛れ....
「俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
代からこれらの枝の節々を飾る花実のごときものであった。後に俳諧から分岐した雑俳の
枝頭には川柳が芽を吹いた。 連歌から俳諧への流路には幾多の複雑な曲折があったよ....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
縮めて眠れる、その顔は蒼白し。四辺の林もしばしはこの青年に安き眠りを借さばやと、
枝頭そよがず、寂として音なし。流れには紅黄大小かずかずの木の葉、たちまち来たりた....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
戸をギーと開けた。 充分満足した革商人が、彼女の寝室から辷り出たのは、春の月が
枝頭へ昇る頃であった。 マリアは深紅の寝巻を着、両股の間へ襞をつくり、寝台の縁....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
種は山地に生じて高さ二尺内外から一丈ばかりに及ぶ落葉灌木で、その小さい黄色花は小
枝頭に攅簇して頭状をなし、花にも葉にも細白毛が多い。そして一つにカミノキ、ヤマカ....
「三八九雑記」より 著者:種田山頭火
春風が吹くでしょう。 終日尋春不見春 杖藜踏破幾重雲 帰来拭把梅花看 春在
枝頭已十分 その梅はもう盛りをすぎたけれど、あちらこちらにしろじろと立ってい....
「百花園」より 著者:永井荷風
水害の前の年、園中には尚数株の梅の残っていた頃である。花候の一日わたくしは園梅の
枝頭に幾枚となく短冊の結びつけられているを目にして、何心なく之を手に取った時、そ....