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「枯色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

枯色の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
のだ。 落灰、墜石は二十三日から二十七日まで五日の間、降り続いた。どこを見ても枯色の塵塚ばかりとなった。あたりはすっかり灰色の世界となった。昼間から暗いので灯....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
落ちたその残骸は、まるで谿いっぱいにもつれた蜘蛛糸をみるようであった。やがてその枯色も、鎖ざしはじめた昆虫霧にうっすらと霞んでしまったのである。――大秘境「|悪....
前哨」より 著者:黒島伝治
た時は、まだ、満洲の平原に青い草が見えていた。それが今は、何一ツ残らず、すべてが枯色だ。 黒龍江軍の前哨部隊は、だゝッぴろい曠野と丘陵の向うからこちらの様子を....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
た。 それは、ある秋のことである。市街から離れた田舎道を、なお、山奥へ、樹々が枯色をした深い淋しい林へ、耳の長い驢馬に引かれた長い葬式の列が通っていた。 棺....
浮動する地価」より 著者:黒島伝治
の雑草は、灰色になって枯れた。黄金色にみのった稲穂の真中を、そこだけは、真直に、枯色の反物を引っぱったようになっていた。秋からは、その沿線附近一帯をも、あまり儲....
英彦山に登る」より 著者:杉田久女
。 日輪は曇って、まだ二時過ぎたばかりなのに山頂は夕暮のようにうそ寒く、四山は枯色をしていかにも初冬が眼の前に迫ってきたのを感じさせられる。人なつかしげに語る....
あなたも私も」より 著者:久生十蘭
、遠くに秩父の連峰が見え、反対の側には赤十字病院の軍艦のような白い建物が、芝生の枯色と対照していい点景になっている。 この五日、サト子は広大な洋館の翼屋《よく....
私本太平記」より 著者:吉川英治
、唖の金剛山が物を言い出したように轟き鳴ッている。――いまここで、一ト雨来れば、枯色の田の半分以上は救われるぞ――と考え来たって、正成の頬を、白い涙のすじが垂れ....