柄にもない[語句情報] » 柄にもない

「柄にもない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

柄にもないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
片信」より 著者:有島武郎
りこれだけの長い年月を費やす必要があったのだ。今から考えると、ようこそ中途半端で柄にもない飛び上がり方をしないで済んだと思う。あのころには僕にはどこかに無理があ....
外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
受けるかと思えば、今度はまた、てんで正気の沙汰とも思われないような、まるで自分の柄にもない高い値段を吹っかけたりしてさ。」と、思わず叫び出すようなことさえあるの....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
。それどころか、どうやら軽蔑していると思われる節もある。冬空にオーバーもなしに、柄にもない喫茶店へまぎれ込んで来た男など、充分軽蔑に価する筈だ! おまけに女は歯....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
しく服従する覚悟でいるんじゃないか。それだのにまだちっぽけな才能に未練を残して、柄にもない野心を捨てかねていると見える。おれはどっちの生活にも真剣にはなれないの....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
を見守っていた。お前は例の如く努力を始めた。お前の努力から受ける感じというのは、柄にもない飛び上りな行いをした後に毎時でも残される苦しい後味なのだ。お前は一方に....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
とめて、ホッと深いため息をついた。その路は半年ばかり彼が役所へ往復した路である。柄にもない教部省御雇いとしての位置なぞについたのは、そもそも自分のあやまりであっ....
雪霊記事」より 著者:泉鏡花
九歳十歳ばかりのその小児は、雪下駄、竹草履、それは雪の凍てた時、こんな晩には、柄にもない高足駄さえ穿いていたのに、転びもしないで、しかも遊びに更けた正月の夜の....
首頂戴」より 著者:国枝史郎
の武士が止めた。「セチ辛い浮世だ、そうでもないヤクザが、僅の餬口にあり付こうと、柄にもない芝居を打つこともある。もしも其奴がそんな玉なら構うことはござらぬ、叩っ....
可愛い女」より 著者:神西清
人の注文どおりに行かなかったというわけは、オーレンカがおよそ秘密なんていうことは柄にもない女だったからである。男のところへ連隊の同僚がお客にやって来たりすると、....
縁談」より 著者:佐藤垢石
かにも困ったという風であったので、一つ私も縁談の口ききをやってみようかなという、柄にもない親切な気持ちになったのである。 『お妹さんは、いまどちらにいるのですか....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
て熟と瞻たのであったが、 「せめて、移り香を。」 「厭味たらしい、およしなさい、柄にもない。……じゃあ私も気障をしてよ。」 するりと簪を抜くと、ひらひらの薄が....
贋物」より 著者:葛西善蔵
訳の稽古でもしていたら、今ごろはこうしたことにもならずにすんだものを、創作なぞと柄にもないことを空想して与太をやってきたのが間違いだったかしれん。どうせ俺のよう....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
を托したので、それが弓のように撓むと、その柄からボキリと折られてしまったものだ。柄にもない華奢な洋杖蝙蝠傘などを買って来たのがそもそもの過りであった、私は苦笑し....
四つの都」より 著者:織田作之助
よ、陸へ上った時にね、コックの腕に覚えがあるんではやらぬ洋食屋をやったり、こんな柄にもないレコード屋をやったり……今にして想えば、もっと身体を責めて働かなきゃな....
春水と三馬」より 著者:桑木厳翼
斯様な標題を掲げたが、何もこんな陳腐な題目で柄にもない文学論を試みようとするのではない。「図書」という雑誌の性質に鑑み、此二....