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「柄杓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

柄杓の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浅草公園」より 著者:芥川竜之介
71 斜めに上から見おろした、大きい長方形の手水鉢《ちょうずばち》。柄杓《ひしゃく》が何本も浮かんだ水には火《ほ》かげもちらちら映っている。そこへま....
高野聖」より 著者:泉鏡花
う》を達《た》した様子、雨戸をばたりと開けるのが聞えた、手水鉢《ちょうずばち》へ柄杓《ひしゃく》の響《ひびき》。 「おお、積《つも》った、積った。」と呟《つぶや....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
あるについて、向った玄関に段々《だんだら》の幕を打ち、水桶《みずおけ》に真新しい柄杓《ひしゃく》を備えて、恭《うやうや》しく盛砂《もりずな》して、門から新筵《あ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
の目をちょいと当る。 「ワンワンに言うようだわ、何だねえ、失礼な。」 とお源は柄杓で、がたりと手桶の底を汲む。 「田舎ものめ、河野の邸へ鞍替しろ、朝飯に牛はあ....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
き一路を切り開こうとした。ある者は艪を拾いあてた。あるものは船板を、あるものは水柄杓を、あるものは長いたわし握っていた。そして舷から身を乗り出して、子供がするよ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
奴がいきります。 お手渡で下される儀は、皆の衆も御面倒、これへ、と云うて、あか柄杓を突出いて、どうどうと受けました。あの大面が、お前様、片手で櫓を、はい、押し....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
上、台所で突伏せられて、引窓をわざと開けた、寒いお月様のさす影で、恥かしいなあ、柄杓で水を立続けて乳へも胸へもかけられましたの。 こちらから、あの、お座敷を掛....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
提灯もやがて消えた。 ひたひたと木の葉から滴る音して、汲かえし、掬びかえた、柄杓の柄を漏る雫が聞える。その暗くなった手水鉢の背後に、古井戸が一つある。……番....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
ずると広前を、石の大鉢の許に掴み去って、いきなり衣帯を剥いで裸にすると、天窓から柄杓で浴びせた。 「塩を持て、塩を持て。」 塩どころじゃない、百日紅の樹を前に....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
い。 「だって、両掌を突込まないじゃ、いけないじゃありませんか。」 「ええ、あの柄杓があるんですけど。」 「柄杓、」 手水鉢に。 「ああ、手近です。あげましょ....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
るまで、一心に車夫部屋の灯を、遥に、船の夢の、燈台と力にしつつ、手を遣ると、……柄杓に障らぬ。 気にもせず、なお上の空で、冷たく瀬戸ものの縁を撫でて、手をのば....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
ねえからな。」 「おお、暑い、暑い。」 「ああ暑い。」 もう飛ついて、茶碗やら柄杓やら。諸膚を脱いだのもあれば、腋の下まで腕まくりするのがある。 年増のごと....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
度は転んだかて成仏どす。」 などと京人形が口を利いた。 手水鉢で、蔽の下を、柄杓を捜りながら、雫を払うと、さきへ手を浄めて、紅の口に啣えつつ待った、手巾の真....
清心庵」より 著者:泉鏡花
いまお寺から汲んで来たお初穂だ、あがんなさい。」 掬ばむとして猶予らいぬ。 「柄杓がないな、爺や、お前ン処まで一所に行こう。」 「何が、仏様へお茶を煮てあげる....
式部小路」より 著者:泉鏡花
いた処は、そこから焦げねえじゃ治まらんとしてあるんで。へい鼬が鳴いてもお呪禁に、柄杓で三杯流すんですから、おかみさん、さっさと塩花をお撒きなさいまし。おかみさん....