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「某年〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

某年の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
創作家の態度」より 著者:夏目漱石
なるが、いまだかつて生れたような心持がした事がない。しかし回顧して見るとたしかに某年某月の午《うま》の刻か、寅《とら》の時に、母の胎内から出産しているに違いない....
狐の手帳」より 著者:田中貢太郎
あたりへ織物の買い出しに往って、それを東京近在の小さな呉服屋へ卸していた。それは某年の秋のこと、新三郎の家では例によって新三郎が旅に出かけて往ったので、女房のお....
易の占いして金取り出したること」より 著者:南方熊楠
。そこで、その旨を書いて赤い箱に入れ家廟中に封じ、代々相伝えて十代めの孫に至り、某年月日にこの箱を太守に送り、必ず太守自身堂より下って親《みずか》らこれを受けし....
渋江抽斎」より 著者:森鴎外
て正すことが容易である。さて誤謬は誤謬として、記載の全体を観察すれば、徳川時代の某年某月の現在人物等を断面的に知るには、これに優る史料はない。そこでわたくしは自....
ニュース映画と新聞記事」より 著者:寺田寅彦
も感ぜずなんらの印銘をも受けないことであるに相違ない。しかし、よく考えてみると、某年某月某日某所で行なわれた某の銅像除幕式を他のある日ある場所で行なわれた他の除....
十二支考」より 著者:南方熊楠
、〈釈典に三必死あり、いわく人の老病、竹の結実、騾の懐胎、しかるに康熙《こうき》某年、旗下人の家に、騾ありて子を生みついに恙《つつが》なし〉。騾の牝が他の馬種と....
細木香以」より 著者:森鴎外
い日に曝して自ら※み、出入の左官に与えなどした。しかし伊兵衛は卑吝では無かった。某年に芝泉岳寺で赤穂四十七士の年忌が営まれた時、棉服の老人が墓に詣でて、納所に金....
狸と俳人」より 著者:田中貢太郎
親しく交わる人もなく、一人一室に籠居して句作をするのを何よりの楽しみにしていた。某年の晩秋の夕のことであった。いつものように渋茶を啜りながら句作に耽っていた庄造....
火傷した神様」より 著者:田中貢太郎
二 その来宮様のいた処は、今の静岡県加茂郡下河津村の谷津であった。某年の十二月二十日|比、私は伊豆の下田へ遊びに往ったついでに、その谷津へ往ったこ....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
代を経過してとうとう徳川も幕末に近い文政時代まで伝わって来た。 そうして文政の某年に至って一つの事件を産むことになったが、その事件を語る前に例の六歌仙の絵巻に....
興津弥五右衛門の遺書(初稿)」より 著者:森鴎外
だ慮外の至に候えども、幸便を以て同家へ御送届|下されたく、近隣の方々へ頼入り候。某年来|桑門同様の渡世致しおり候えども、根性は元の武士なれば、死後の名聞の儀もっ....
迷信解」より 著者:井上円了
て曰く、『今より幾年の後、某月某日に必ず死すべし』と。迷信家かたくこれを信じて、某年某月までに財産を消費し、当日に至りて一銭の余財なく、ただ自らその身を棺中にお....
炭焼長者譚」より 著者:喜田貞吉
といおうか、悲惨といおうか、今から思えば形容の辞もない程の徒事ではあるが、試みに某年三月現在のその職員録についてこれを験するに、姓名を明記するもの総計概算一千六....
濹東綺譚」より 著者:永井荷風
ことを喜んでいたからである。翁が生前|屡《しばしば》わたくしに示した其手帳には、某年某月某日の条下に、某処に於いて見る所、何時より何時までの間、通行の女|凡《お....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
もう十数年前だが、この危ない崖ぷちに、山藤の花が垂れ下がって酔うばかり匂っていた某年陽春の一日、ぼく、浜本浩、永井龍男、三角寛、それに南島研究家の安藤君、今は亡....