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「柑橘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

柑橘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
不尽の高根」より 著者:小島烏水
から流れているにもかかわらず、麓の高原は乾き切って、砂埃とゴロタ石の間に栽培した柑橘類の樹木が、疎らに立っているばかり。それに比べると、夏の富士は、焙烙色に赭ッ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ころの水がよろしいです。いったい、どこを掘ってもよい水です、一歩、海辺へ出ると、柑橘《かんきつ》の実る平和な村があります、三角《みすみ》の港から有明の海、温泉《....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
し》に吹きさらされた松本平とも違い、冬というものを知らぬげな伊豆の海岸の、右には柑橘《かんきつ》が実《みの》り、眼のさめるほど碧《あお》い海を左にしての湯治帰り....
大和路・信濃路」より 著者:堀辰雄
つかしさで一ぱいになりながら、歩けるようになりたいともおもっているのだ。たわわに柑橘類《かんきつるい》のみのった山裾をいい香りをかいで歩きながら、ああこれも古墳....
旅の絵」より 著者:堀辰雄
かれ、或いは閉されている。多くの庭園には、大粒な黄いろい果実を簇《むら》がらせた柑橘類《かんきつるい》や紅い花をつけた山茶花《さざんか》などが植わっていたが、そ....
台湾の姿態」より 著者:豊島与志雄
味はバナナにまさることは勿論であるが、マンゴーには及ばない。その代り、マンゴーや柑橘類が季節的であるのに反して、パパイヤだけは一年中常に結実する。数顆が熟する頃....
朱欒の花のさく頃」より 著者:杉田久女
というものによほど縁があると見え、嫁して二十五年余り、小倉の町にすみ馴れて年毎に柑橘の花をめでるのである。 静かな屋敷町の塀の上から、或は富野辺の大きなわら屋....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
なってしまった。しかしそれは現実の恋であるよりも歌の上の恋であった。 香の高い柑橘類。燃えるような丹椿。濃く、暖かい潮の色、海べの砂州と、嶋々の浦わ、尾道の自....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
さい髷に取り上げている。顔は小さくて萎びていて、そうして黄味を帯びていた。古びた柑橘を想わせる。にもかかわらず顔の道具は、いかめしいまでに調っていた。高くて順直....
香魚の讃」より 著者:佐藤垢石
のように洒麗である。底に点々とする石の姿もいい、水垢の色も艶々しい。 崖の上の柑橘畑から淵を望むと、まどらかな眼を頭の上へちょこんとつけて、楚々として相戯れて....
姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
数粒、小皿の上にあった。私は、それをなつかしく眺めた。 寒国である私の故郷は、柑橘類に恵まれていなかった。姫柚子など、あろうはずがないけれど、私は姫柚子の味に....
植物知識」より 著者:牧野富太郎
ば漿果《しょうか》と称すべきであるが、なお精密にいえば漿果中《しょうかちゅう》の柑橘果《かんきつか》と呼ぶべきものである。 ミカン類の果実を剥《む》いて見ると....
声と食物」より 著者:宮城道雄
差し支えないと思う。 また、私の経験によると、林檎のようなもの、レモンのような柑橘類の少し熟したものを食べると、声のよく出ることがある。それも人によって違うか....
「日本民族」とは何ぞや」より 著者:喜田貞吉
意味において我ら国民は、ことごとく天孫民族である。余輩はかつてこれを比喩するに、柑橘栽培の例を以てした。今再びこれを繰り返したいと思う。その台木がよしや柚子であ....
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
あげた「民族と歴史」の中にも書いてあります通り、枳殻や、柚子や、橙や、いろいろの柑橘類が、みな温州蜜柑の接木によって、ことごとく温州蜜柑になってしまっているので....