»
柔
「柔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
柔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
なかったね。――」
藤井は面白そうに弁じ続けた。
「医科の和田といった日には、
柔道の選手で、賄征伐《まかないせいばつ》の大将で、リヴィングストンの崇拝家で、寒....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
》われた唇に、ちらりと微笑の影が動くと、心もち山高帽を持ち上げながら、「やあ」と
柔《やさ》しい声で会釈《えしゃく》をした。私はかすかな心の寛《くつろ》ぎを感じて....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
と自刃《じじん》の仔細《しさい》とが認《したた》めてあった。「私儀《わたくしぎ》
柔弱《にゅうじゃく》多病につき、敵打の本懐も遂げ難きやに存ぜられ候間《そうろうあ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
、彼女の蒲団の上へ来ては、よくごろりと横になった。――ちょうどそれと同じように、
柔かな重みがかかったのだった。お蓮はすぐに枕《まくら》から、そっと頭《かしら》を....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
の間を通りぬけるが早いか、いきなりその茂った枝の中に、彼の体を抱き上げて、水際の
柔らかな泥の上へまっさかさまに抛《ほう》り出した。
その途端に何小二は、どうか....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
いがどくそん》」と獅子吼《ししく》した事などは信じていない。その代りに、「深く御
柔軟《ごにゅうなん》、深く御哀憐《ごあいれん》、勝《すぐ》れて甘《うまし》くまし....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
スト》に美しい乳房《ちぶさ》を含ませた「すぐれて御愛憐《ごあいれん》、すぐれて御
柔軟《ごにゅうなん》、すぐれて甘《うまし》くまします天上の妃《きさき》」と同じ母....
「犬養君に就いて」より 著者:芥川竜之介
念すぎる為に暗示する力を欠き易い事であろう。 それから又犬養君の作品はどれも皆
柔かに美しいものである。こう云う
柔かい美しさは一寸他の作家達には発見出来ない。僕....
「久保田万太郎氏」より 著者:芥川竜之介
主人公はチエホフのそれよりも哀婉なること、なお日本の刻み煙草のロシアの紙巻よりも
柔かなるが如し。のみならず作中の風景さえ、久保田君の筆に上るものは常に瀟洒たる淡....
「墓」より 著者:秋田滋
くしは考えたのであります。彼女の肉体、あのみずみずしていた、温ッたかな、あんなに
柔かく、あんなに白くあんなに美しかった肉体が、地下に埋められた棺の底で腐ってゆく....
「初雪」より 著者:秋田滋
に蔽われて、死んだように寂然している。彼女はいきなりその素足を氷のように冷たい、
柔かな粉雪のなかへ一歩踏み込だ。と、傷のように痛く疼く冷感が、心臓のところまで上....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
するとき、女はオオと驚くに予も心付きてヤヤと愕きたり。「蘭の鉢を庭へ出せよ」と物
柔らかに命じながら主公出で来られぬ。座を下りて平伏すれば、「イヤ御遠慮あるな伯父....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
がいた。彼女は花はずかしい十八歳の乙女だった。しゃこのように丸々と肥って、熟して
柔らかで赤い頬は、まるで彼女の父のつくった桃にも似ていた。そして、彼女の評判はひ....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
穴を、ただ小さな穴のみをうがち、生命をつくりあげている血が流れるのを眺め、それが
柔かな、冷たい、動かない、考えることもしない一塊りの肉にほかならないと思うのは、....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
同意を表しました。 二人はその晩、拾った赤児を替り番子に抱いて寝ました。赤児の
柔かい肌が触れると、二人とも何んとも言い表わしがたい快感を感じました。夜になって....