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柔らか
「柔らか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
柔らかの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
がいた。彼女は花はずかしい十八歳の乙女だった。しゃこのように丸々と肥って、熟して
柔らかで赤い頬は、まるで彼女の父のつくった桃にも似ていた。そして、彼女の評判はひ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
するとき、女はオオと驚くに予も心付きてヤヤと愕きたり。「蘭の鉢を庭へ出せよ」と物
柔らかに命じながら主公出で来られぬ。座を下りて平伏すれば、「イヤ御遠慮あるな伯父....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
の間を通りぬけるが早いか、いきなりその茂った枝の中に、彼の体を抱き上げて、水際の
柔らかな泥の上へまっさかさまに抛《ほう》り出した。
その途端に何小二は、どうか....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
け放されなかったら、そうして「お祖父様《じいさま》ただいま。」という声とともに、
柔らかい小さな手が、彼の頸へ抱きつかなかったら、彼はおそらくこの憂欝《ゆううつ》....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
》を現さない。鉄縁の鼻眼鏡の後《うしろ》には、不相変《あいかわらず》小さな眼が、
柔らかな光をたたえながら、アイロニカルな微笑を浮べている。その眼がまた、妙に本間....
「青年と死」より 著者:芥川竜之介
こっちへいらっしゃいな。
――まだ、そこにいらっしゃるの。
Bの声 お前の手は
柔らかいね。
――いつでも可哀がって頂戴な。
――今夜は外《よそ》へいらしっ....
「女体」より 著者:芥川竜之介
、山一円、どこを見ても白くない所はない。その白さがまた、凝脂《ぎょうし》のような
柔らかみのある、滑《なめらか》な色の白さで、山腹のなだらかなくぼみでさえ、丁度雪....
「老年」より 著者:芥川竜之介
に、頸の鈴がきこえるか、きこえぬかわからぬほどかすかな音をたてる。房さんは禿頭を
柔らかな猫の毛に触れるばかりに近づけて、ひとり、なまめいた語《ことば》を誰に云う....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
私は私自身を言い現わす為めに彼女に優しい助力を乞おう。私は自分の生長が彼女の
柔らかな胸の中に抱かれることによって成就したのを経験しているから。しかし人間その....
「星座」より 著者:有島武郎
の美しさも持ってはいないが、女であるだけに、柿江がかつて触れてみなかった、皮膚の
柔らかさと、滑らかさと、温かさと、匂いとをもって彼を有頂天にした女、……柿江はた....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
たので、花聟の衣裳は磨り切れて艶々しい色も褪せ、荒野の悪い野良犬や尖った茨にその
柔らかな布地は引き裂かれてしまった。 昼のあいだ、太陽が情け容赦もなくすべての....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
抽斗を開けましたがな。 ――水天宮様のをお目に掛けましょう―― そう云って、
柔らかい膝の衣摺れの音がしますと、燐寸を※と摺った。」 「はあ、」 と欣八は、....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
いろいろさまざまの妄想が、狭い胸の中で、もやくやもやくや煮えくり返る。暖かい夢を
柔らかなふわふわした白絹につつんだように何ともいえない心地がするかと思うと、すぐ....
「転機」より 著者:伊藤野枝
い女が、私の姿をじっと見ていた。私はそれを見ると気恥ずかしさでいっぱいになった。
柔らかに私の体を包んでいる袖の長い着物が、その時ほど恥ずかしくきまりの悪かったこ....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
をもって、ヤソ教の法雨を注入すること難し。しかして、女子はその心面の膜質いたって
柔らかにして、宗教の風に変質しやすきをもって、将来の布教は女子を教育するよりほか....