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「柔和〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

柔和の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
まった。親佐はことに冷静な底気味わるい態度で夫婦の別居を主張した。そして日ごろの柔和に似ず、傷ついた牡牛《おうし》のように元どおりの生活を回復しようとひしめく良....
或る女」より 著者:有島武郎
世の顔をちょっと見てからじっと目を愛子にさだめた。愛子は格別恥じる様子もなくその柔和な多恨な目を大きく見開いてまんじりと倉地を見やっていた。それは男女の区別を知....
星座」より 著者:有島武郎
せぎすな彼女の父は、いつでも青白い不精髯《ぶしょうひげ》を生やした、そしてじっと柔和な眼をすえて物を見やっている、そうした形でおぬいには思いだされるのだった。あ....
高野聖」より 著者:泉鏡花
。 かれは高野山《こうやさん》に籍《せき》を置くものだといった、年配四十五六、柔和《にゅうわ》ななんらの奇《き》も見えぬ、懐《なつか》しい、おとなしやかな風采....
婦系図」より 著者:泉鏡花
、すらりと開いて入ったのは、座敷帰りの小芳である。 瓜核顔の、鼻の準縄な、目の柔和い、心ばかり面窶がして、黒髪の多いのも、世帯を知ったようで奥床しい。眉のやや....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
れるのだ。このパラドックスとも見れば見える申し出では決して虚妄でない。罪人のあの柔和なレシグネーションの中に、昂然として何物にも屈しまいとする強さを私は明かに見....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
本望で、せめてもの心ゆかしでござりますよ。」 とかごとがましい口ぶりだったが、柔和な顔に顰みも見えず、温順に莞爾して、 「御新造様がおありなさりますれば、御坊....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
まに、ひょいと歯を剥いて唾を吐くと、べッとりと袖へ。これが熨斗目ともありそうな、柔和な人品穏かに、 「私は楽書はせぬけれどの、まずいと云うのを決して怒るな、これ....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
、茂りの中から顕われたように見えたが、早く尾根づたいして、八十路に近い、脊の低い柔和なお媼さんが、片手に幣結える榊を持ち、杖はついたが、健に来合わせて、 「苦労....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
へわざわざ尋ねて来て話しかけるのもあった。そういう時には、ラザルスの顔はいくらか柔和になって、割合いに物凄くなくなって来るのである。こうした第一印象を受けた人に....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
だね。中にあの三|間間口一杯の布袋が小山のような腹を据えて、仕掛けだろう、福相な柔和な目も、人形が大きいからこの皿ぐらいあるのを、ぱくりと遣っちゃ、手に持った団....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
頬肉が厚く、小鼻に笑ましげな皺深く、下頤から耳の根へ、べたりと髯のあとの黒いのも柔和である。白地に藍の縦縞の、縮の襯衣を着て、襟のこはぜも見えそうに、衣紋を寛く....
黒百合」より 著者:泉鏡花
※して、叱りもしない、滝太郎の涼しやかな目は極めて優しく、口許にも愛嬌があって、柔和な、大人しやかな、気高い、可懐しいものであったから、南無三仕損じたか、逃後れ....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
かりの兄の方が、早く薄べりを縁に敷いた。そこへ杖を飛ばしたそうです。七十ぐらいの柔和なお婆さんが煙草盆を出してくれて、すぐに煎茶を振舞い、しかも、嫁が朝の間拵え....
三枚続」より 著者:泉鏡花
で、且つ自宅でも診察に応じている。 口寡で、深切で、さらりと物に拘らず、それで柔和で、品が打上り、と見ると貴公子の風采あり、疾病に心細い患者はそれだけでも懐し....