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柔毛
「柔毛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
柔毛の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「交尾」より 著者:梶井基次郎
わい》い力やを思い出した。どこまでも指を滑《すべ》り込ませる温《あたた》かい腹の
柔毛《にこげ》――今一方の奴《やつ》はそれを揃《そろ》えた後肢で踏んづけているの....
「城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
高い音と関係があると言えば、ただその腹から尻尾《しっぽ》へかけての伸縮であった。
柔毛《にこげ》の密生している、節を持った、その部分は、まるでエンジンのある部分の....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
ご》を過ぎたる太陽は、透明なる光線を彼の皮膚の上に抛《な》げかけて、きらきらする
柔毛《にこげ》の間より眼に見えぬ炎でも燃《も》え出《い》ずるように思われた。彼は....
「海流」より 著者:宮本百合子
たしっかりしなくちゃ駄目よ。純だ純だって――本当に何だか心配だわ」 順二郎は、
柔毛でうっすり黒い上唇と下唇とをキッと結び合わせて、宏子の云うことをきいていたが....
「おもかげ」より 著者:宮本百合子
さのように感じられた。あの頃から、彼の心に何か計画がされていたのであったろうか。
柔毛の生えた保の若々しい上唇のところや、細かいほそい横書きのノートでならされた手....
「南路」より 著者:宮本百合子
ら、我々の横を通り過ぎるのである。 始め、彼が逞しい軍服の腕に、大切そうに白い
柔毛ずくめの嬰児を抱いて行くのを見たとき、自分は、彼等が父親、娘、孫という関係に....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
、草鞋が辷る。 朝明りか知らん大きな水平のひろごりが、足許に延されている、白い
柔毛のような雲が、波の連続するように――したが一つの波も動くとは見えない――凸凹....
「原爆詩集」より 著者:峠三吉
な町 いく度か引返し 今日こそあなたを尋ねゆく この焼跡の道 爬虫のような隆起と
柔毛一本|生えぬてらてらの皮膚が うすあかい夕日の中で わたくしの唇に肉親の骨の....
「墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
いの若い娘だった。 なんという、※《ろう》たけた面ざしであろう。 ブロンドの
柔毛のような髪が、すき透るような蒼白い顔のあたりに三鞭酒色《シャンパン》の靄をか....
「痀女抄録」より 著者:矢田津世子
らった紐のいろは鮮やかな緋色であった。若鷹は茶褐色の斑に富み、頸から胸にかけての
柔毛は如何にも稚を含んでいて好もしいが、その眼、嘴、脚爪の鋭さが何んともいえず胸....
「春心」より 著者:田中貢太郎
」手を揮って、「おい、こら」 鵜はそれでも逃げなかった。汚い天水桶の上には鳥の
柔毛が浮んでいた。右の方の横手の入口に近い処に小さな稲荷の祠があって、半纏着の中....