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柔順
「柔順〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
柔順の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
「それがあの頃は、極《ごく》正直な、人の好《い》い人間で、捕虜の中にも、あんな
柔順なやつは珍らしいくらいだったのだ。だから軍医官でも何でも、妙にあいつが可愛い....
「或る女」より 著者:有島武郎
。愛子は縁側から静かにこっちを振り向いて平生《ふだん》と少しも変わらない態度で、
柔順に無表情に縁板の上にちょっと膝《ひざ》をついて挨拶した。しかしその沈着にも係....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
として、 「芸者に挨拶をする奴があるか。」 これに一言句あるべき処を、姉さんは
柔順いから、 「お出花が冷くなって、」 と酒井の呑さしを取って、いそいそ立って....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
て、誇りもなく、矯飾もなく、不平もなく、素直に受け取り、軛にかかった輓牛のような
柔順な忍耐と覚悟とをもって、勇ましく迎え入れている、その姿を見ると、君は人間の運....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ところのものである。 おしなべての男女もまた、社会のこの不言不語の強圧に対して
柔順である。彼等の多数は愛のない所にその形骸だけを続ける。男性はこの習慣に依頼し....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
い、なりたけいいのを。」 束髪に結った、丸ぽちゃなのが、 「はいはい。」 と
柔順だっけ。 小用をたして帰ると、もの陰から、目を円くして、一大事そうに、 「....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ぶような雲が見えて、ざっと一浪打ちました。 爺どのは悚然として、はい、はい、と
柔順になって、縄を解くと、ずりこけての、嘉吉のあの図体が、どたりと荷車から。貴女....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
の手も要るだろう、余り遅くならないうちにと、懇に言うと、 (はい、はい。) と
柔順に返事する。片手間に、継掛けの紺足袋と、寝衣に重ねる浴衣のような洗濯ものを一....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
いで出て、敷居越に立ったなり、汚点のある額越しに、じろりと視て、 「遊君が綺麗で
柔順しくって持てさいすりゃ言種はないんじゃないか。遅いや、ね、お前さん。」 と....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
た。ふさふさの簪を前のめりに挿して、それは人柄な、目の涼しい、眉の優しい、口許の
柔順な、まだ肩揚げをした、十六七の娘が、一人入っていたろう。……出来るだけおつく....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
その姿で手をつきました。ああ、うつくしい白い指、結立ての品のいい円髷の、情らしい
柔順な髱の耳朶かけて、雪なす項が優しく清らかに俯向いたのです。 生意気に杖を持....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
が高かった。騎手がいつでも首の骨を折る心配をしなければならないような馬が好きで、
柔順でよく訓練された馬なぞは、血気盛んな若者には価値がないと考えていたのである。....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
、精々落着いて其方に歩んだ。畠を、ややめぐり足に、近づいた時であった。 娘が、
柔順に尋常に会釈して、 「誰方?……」 と優しい声を聞いて、はっとした途端に、....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
、多分にお心付を頂きました。ご冥加でして、へい、どうぞ、お初穂を……」 お絹が
柔順に、もの軟に取上げた、おでんの盆を、どういうものか、もう一度彦七がわざとやけ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
ないか。永い年月よく辛抱をした。豪い者だ。感心な女だ。その性根にすっかり惚れた。
柔順に抱かれて寝る気は無いか。と嘲弄されて切歯をなし、「ええ汚らわしい、聞とうご....