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柩車
「柩車〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
柩車の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葬儀記」より 著者:芥川竜之介
る。そのほか、朝日新聞社の人が、一人ずつ両方へ手伝いに来てくれた。
やがて、霊
柩車《れいきゅうしゃ》が来る。続いて、一般の会葬者が、ぽつぽつ来はじめた。休所の....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
ただ》僕の父の死骸《しがい》を病院から実家へ運ぶ時、大きい春の月が一つ、僕の父の
柩車《きゅうしゃ》の上を照らしていたことを覚えている。
四
僕は今年の三月....
「さようなら」より 著者:田中英光
なら」にぼくは背中を向け、つとめて答えまいとしたものだ。父が病院で死に、翌日、霊
柩車で遺骸が帰ってきた時、ぼくは父の死顔をみるのが恐ろしく、兄や姉の制止もきかず....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
凱旋の。時こそ来つれ、生涯の御勤労果てゝ御安息の。
曩昔の東下りの御板輿を白き
柩車に乗り換へて、今こそ君は浄土の西の京へと還り玉はめ。
(大正元年 九月十三日....
「死のなかの風景」より 著者:原民喜
事が、いつかまた妻と話しあえそうな気が、ぼんやりと彼のなかに宿りはじめた。 霊
柩車が市営火葬場の入口で停ると、彼は植込みの径《みち》を歩いて行った。花をつけた....
「旅愁」より 著者:横光利一
持つものだったら、あるいはこの反対の感じを受けるのかもしれないと思った。矢代は霊
柩車に横わっているような思いで身体を車に任せていたが、いやが応でも迫って来る自分....
「B教授の死」より 著者:寺田寅彦
青葉が悩ましく揺れ騒いで白い葉裏をかえしていたのを覚えている。自分は教会の門前で
柩車を出迎えた後霊柩に付き添って故人の勲章を捧持するという役目を言いつかった。黒....
「早すぎる埋葬」より 著者:佐々木直次郎
。恐ろしい暗黒が地上を蔽うと、ものを考えるたびの恐怖のために私は身震いした、――
柩車の上の震える羽毛飾りのように身震いした。このうえ目を覚ましているわけにはゆか....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
ない車ですが、今夜は一台足りないのでつい並べてしまったのですよ」 十三号車は、
柩車のように黒い姿をして、最前列の左端に停っていた。おそろしく古い型の箱型自動車....
「悲しめる心」より 著者:宮本百合子
もの心やりにそれに手を持ちそえて美くしい塗の私のたった一人の妹を送るにふさわしい
柩車に乗せた。 私達もすぐ後の馬車に乗った。 静々と車はきしり出す。声もなく....
「アリゾナの女虎」より 著者:牧逸馬
動車の追跡を避けて、無事に警察へ送り込むための、ラッセル判事の大苦心なのだった。
柩車へ乗りこむと、ルウスはすっかり崩折れて、 「手が痛いの、あなた。死にそうに痛....
「「黒死館殺人事件」著者之序」より 著者:小栗虫太郎
が、柩が墓地門に着いた頃は、それ等の人も一人去り二人去りして、残ったのは、僅かに
柩車を駆る馭者一人のみ。また、それを迎えたのも、穴掘ハルシュカ一人だったと云う、....
「西瓜」より 著者:永井荷風
った。そして絵巻物に見る牛車《ぎっしゃ》と祭礼の神輿《みこし》とに似ている新形の
柩車《きゅうしゃ》になった。わたくしは趣味の上から、いやにぴかぴかひかっている今....
「夢幻泡影」より 著者:外村繁
た下駄を引きずって、日に何度行ききしたかと思われる横町を運ばれて、八百屋の角で霊
柩車に乗せられた。 自動車は直ぐ動き出した。友人達や、近所の人達に見送られ、霊....
「三国志」より 著者:吉川英治
がない。梨のつぶてであった。――けれど、それからわずか七日の後、黒布につつまれた
柩車と、白い旗や幡を立てた寂しい兵列が、哀愁にみちた騎馬の一隊にまもられて、ひそ....