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「柳絮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

柳絮の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
幻覚記」より 著者:豊島与志雄
けたあの河岸ぷちには、深夜と雖も、悪魔も懲役人もいない。垂れさがってるしなやかな柳絮が、さらさらと帽子をなでるだけである。そしてただ、何故となく、私は高声に物を....
画舫」より 著者:豊島与志雄
うして彼は幾度か往復しました。堤上の楊柳はしなやかな枝葉を張って、風もないのに、柳絮は時折彼の身に舞いおちました。 彼は何を思い耽っていたのでありましょうか。....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
とに花園の中で鶯が寝とぼけて啼いている。犬も遠くの方で吠えている。 「顛狂スルノ柳絮ハ風ニ随ツテ舞ヒ、軽薄ノ桃花ハ水ヲ逐フテ流ル――」 杜工部の詩を吟った時に....
漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
として而も服薬を二種使用致し居候。「千鳥」の原稿料御仰せの通にて可然かと存候。「柳絮行」はつまらぬ由。小生もゆっくりと拝見する勇気今は無之候。『漾虚集』本屋より....
十九の秋」より 著者:永井荷風
白柳深青 〔梨花《りか》は淡白《たんぱく》にして柳《やなぎ》は深青《しんせい》柳絮飛時花満城 柳絮《りゅうじょ》の飛ぶ時 花《はな》 城《しろ》に満《み》....
日和下駄」より 著者:永井荷風
玉楼《きんでんぎょくろう》その影を緑波《りょくは》に流す処|春風《しゅんぷう》に柳絮《りゅうじょ》は雪と飛び黄葉《こうよう》は秋風《しゅうふう》に菲々《ひひ》と....
上海」より 著者:横光利一
それともあの甲虫のフィルゼルに、――いや、畜生、死ね、死ね。―― 遠くで、遅い柳絮が一面に吹き荒れた雪のように茫々として舞い上った。彼はこっそりと盗んでおいた....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
と、味噌せんべいを一枚とって番茶を注ぎながら食べはじめた。 「そうですとも」柳絮という新地の芸妓屋の主が、相槌を打った。 「お医者さんですからな、役得という....
三国志」より 著者:吉川英治
いでいるわけもない。帝の心はすでに甘言のみを歓ぶものになっている。朝に美姫の肩の柳絮を払い、夕べに佳酒を瑠璃杯に盛って管絃に酔う耳や眼をもっては、忠臣の諫言は余....
野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
のように空にただようている。以前も一度|上海郊外の工場を見に行った折に、いわゆる柳絮の漂々たる行くえを見送ったことがあったが、総体に旅客でない者は、土地のこうい....
春泥」より 著者:久保田万太郎
独立することになった新派は、それを機会に従来の由良一座を解散し、新たにそこに若宮柳絮を盟主にした清新な一座の組織されるにいたったこと。――そうする上には従来新派....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
いる。時折西北の風が爽に吹き下ろして来ると、枝や葉が一斉に靡いて、其間から無数の柳絮が真白な綿をちぎって飛ばすように、ふわりふわりと飛んで行く、まるで牡丹雪が降....