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柴折戸
「柴折戸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
柴折戸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
た腕を把《と》った。 さみだれが煙るように降る夕方、老妓は傘をさして、玄関横の
柴折戸《しおりど》から庭へ入って来た。渋い座敷着を着て、座敷へ上ってから、褄《つ....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
し初の園の竹 山桜思ふ色添ふ霞《かすみ》かな 主人は案内を知っていると見え、
柴折戸《しおりど》を開けて中庭へ私を導き、そこから声をかけながら庵《いおり》の中....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
ッとなったとき、だが、導き入れたところはそこではない。墓の中を通り越して、そこの
柴折戸をしずかにあけると、目で笑いながら立っているのです。 「ここにおいでか!」....
「三人の相馬大作」より 著者:直木三十五
ている役人に 「開けて、開けて」 と、手を払った。その間に、十二三人の役人は、
柴折戸《しおりど》から庭の方へ廻って行った。門人達は、役人にお辞儀しながら、次々....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
、操人形が動くが如き奇異なる身振をしたりとせよ、何思いけむ踵を返し、更に迂回して
柴折戸のある方に行き、言葉より先に笑懸けて、「暖き飯一|膳与えたまえ、」と巨なる....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
することができません。 その時、庵外の夜に人のおとなうものがあって、ホトホトと
柴折戸《しおりど》を打叩いている。 はて、深夜にここまで自分を訪ねて来る人はな....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と思われる跡をたどって、ついに草にうずもれた不破の関守氏の隠宅の前へ来て、改めて
柴折戸《しおりど》を叩くと、直ぐに内から声があって、 「お角さんかね」 「旅の者....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
用門から、一隊の伊賀侍が、雪崩《なだれ》をうって押しだした。
見ると。
庭の
柴折戸《しおりど》をやぶって飛びだした源三郎の愛馬、五十嵐鉄十郎を乗せたまま、砂....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
藤次は、安心すると同時に
(初めっから、俺を見張ってやがったな)
と、思うと、
柴折戸《しおりど》のところから、四辺をうかがって、おどおどとした姿で、忍び込んだ....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
ぐらしたゆったりとしたひと構え。 門を入ると、玄関に又右衛門が待ちかねていて、
柴折戸《しおりど》から庭づたいにそっとふたりを離屋へ案内する。 桃の古木にかこ....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
の眼は、同性の歌子をさえ魅了する眼だった。お高が帰ることになったので、庭から出て
柴折戸《しおりど》のところまで送って行きながら、歌子は、自分が、お高のその眼と、....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
の話を交《かた》みに聞きながら磯屋の前まで来て見ると、門でもないがなるほど横手に
柴折戸《しおりど》がある。そこから暗剣殺は未申《ひつじさる》の方角、背戸口の暗黒....
「雪の透く袖」より 著者:鈴木鼓村
ておると戸外は朧の夜で庭の面にはもう薄雪の一面に降っていた。やがて中門より、庭の
柴折戸を静かに開けて、温雅に歩み来る女を見ると、まぎれもないその娘だ、文金の高島....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
《しばがき》のほとりに侍女を伴ひたる美人|佇立《たたず》めば、彼方《かなた》なる
柴折戸《しおりど》より美しき少年の姿|立出《たちい》で来れるが如き、いづれも情緒....
「ヒルベルト訪問記」より 著者:高木貞治
29番地.H先生のお宅も随分久しいものですねェ.昔ながらのささやかな――あれは「
柴折戸」としておきたい.それから広くもないあの「前栽」.それはしかしながら三十年....