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柾目
「柾目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
柾目の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「出世」より 著者:菊池寛
を貰えなかった自分と、今の自分とは夢のようにかけはなれている。あの草履の代りに、
柾目の正しく通った下駄を預けることができるが、預ける人はやっぱり同じ大男の爺だ。....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
んご》は、世を逆様に歩いて、ふらりと椽側《えんがわ》へ出た。 拭き込んだ細かい
柾目《まさめ》の板が、雲斎底《うんさいぞこ》の影を写すほどに、軽く足音を受けた時....
「門」より 著者:夏目漱石
は、これと云って大した感動も起らなかった。ただ自分が今坐っている畳の色や、天井の
柾目《まさめ》や、床の置物や、襖《ふすま》の模様などの中に、この屏風を立てて見て....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
笑いをしながら、 「洒落てるけど、案外小っちゃなお家ね」 と言って、天井の板の
柾目を仰いだり、裏小路に向く欄干に手をかけて、直ぐ向い側の小学校の夏季休暇で生徒....
「旅愁」より 著者:横光利一
け流れた。彼は中へ這入ってから、杉の板壁に背をよせかけても、それからはもう、杉の
柾目が神殿の木目に顕われた歳月の厳しさや、和らぎに見えるのだった。人は知らず、こ....
「夜の靴」より 著者:横光利一
男の嫁の部屋になっている。勝手の板の間が二十畳ほど。すべてどの部屋にも壁がなく、
柾目の通った杉戸でしきり、全体の感じは鎌倉時代そのままといって良い。私のいる奥の....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
すめば鍛えである。
三人の相槌《あいづち》をもって火気を去り、打ち返して肌に
柾目《まさめ》をつけ、ほどよいころから沸《わ》かし延べの手順にかかる。
わかし....
「都会の幽気」より 著者:豊島与志雄
て、障子の上の鴨居よりは一尺ばかり高く、床の間の落掛《おとしがけ》が、白々とした
柾目を見せてるばかりだった。天井板や柱や鴨居など、室の中の他の木口よりは比較的新....
「首頂戴」より 著者:国枝史郎
もございましょう、妾は怖くはございません」 乞食、刀を見詰めている。 「鍛えは
柾目、忠の先細く、鋩子詰まって錵おだやか、少し尖った乱れの先、切れそうだな、切れ....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
や杉を始めとし、松や桜や、さては堅い欅、栗、楢。黄色い桑や黒い黒柿、斑のある楓や
柾目の檜。それぞれに異った性質を示して吾々の用途を待っています。この恵まれた事情....
「神戸」より 著者:古川緑波
った。それも、昔のハイウェイを名乗って再開。やっぱり、折目正しい、サーヴィスで、
柾目の通ったものを食わせる。最近行って、ビフテキを食ったが、結構なものだった。 ....
「母の手毬歌」より 著者:柳田国男
たんなものはそうほかにはない。板屋根を葺くのは枌板といって、もとは杉だの檜だのの
柾目のよくとおったふとい材木を、鉈のような刃物でそぎわったうすい板であった。これ....
「魚紋」より 著者:吉川英治
てない頃から、春雨の音がしとしとと降りつづいていた。 パチ…… パチリ 榧の
柾目の盤が三面、行儀よく並んでいた。床の間へ寄った一面は空いていて、紫ちりめんの....