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「柿色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

柿色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
気分とは没交渉に、皆その日の生計を励んでいる。だから「諸国|銘葉《めいよう》」の柿色の暖簾《のれん》、「本黄楊《ほんつげ》」の黄いろい櫛形《くしがた》の招牌《か....
服装に就いて」より 著者:太宰治
に変色している。謂わば、羊羹色《ようかんいろ》である。薄赤い縦横の縞は、不潔な渋柿色を呈して老婆の着物のようである。私は今更ながら、その着物の奇怪さに呆《あき》....
業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
とだち》がしているのは、彼《か》の左官の亥太郎ですが、此の亥太郎は変った男で冬は柿色の※袍《どてら》を着、夏は柿素《かきそ》の単物《ひとえもの》を着ていると云う....
」より 著者:島木健作
くただひとりこちらへ送られて来たのは七月にはいると間もなくのことであった。太田は柿色《かきいろ》の囚衣を青い囚衣に着替えると、小さな連絡船に乗って、翠巒《すいら....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、新聞を読んでいた。 狭い庭にはゆうべの雨のあとが乾かないで、白と薄むらさきと柿色とをまぜ栽えにした朝顔ふた鉢と、まだ葉の伸びない雁来紅の一と鉢とが、つい鼻さ....
柿色の紙風船」より 著者:海野十三
は見て居て下さい。いま此処で股引を脱いで、御覧に入れますから」 そういって私は柿色の股引に手をかけた。 「ば、ば、馬鹿」と看守は慌てて呶鳴った。「おれが見ても....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
るのを待った。寿平次は留守中のことを脇本陣の扇屋の主人、得右衛門に頼んで置いて、柿色の地に黒羅紗の襟のついた合羽を身につけた。関所の通り手形も半蔵と同じように用....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
休み茶屋や、室で見ることである。多くは講中の名を記したものだが、藍、黄、白、黒、柿色などで染抜いた手拭が、秋林の朽ち葉落葉の紛然雑然たるが如く、雲の飛ぶ大空の下....
獄中記」より 著者:大杉栄
て赤煉瓦の高い塀をまわりに燦然として輝く輪喚の美が見えた。何もかもあの着物と同じ柿色に塗りたてた建物の色彩は、雨の日や曇った日には妙に陰欝な感じを起させるが、陽....
獄中生活」より 著者:堺利彦
という命令の下に身体検査をうけて、そこで着物と帯と手拭と褌とを渡される。いずれも柿色染であるが、手拭と褌とは縦に濃淡の染分けになって、多少の美をなしているからお....
梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
という。 物売りではないが、紅勘というのはかなり有名なものだった。浅黄の石持で柿色の袖なしに裁布をはいて、腰に七輪のアミを提げて、それを叩いたり三味線を引いた....
秋草」より 著者:島崎藤村
だ垣も暗い。そのうちに、紅と藍色とのまじったものを基調の色素にして瑠璃にも行けば柿色にも薄むらさきにも行き、その極は白にも行くような花の顔がほのかに見えて来る。....
姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
きいた。小国川は昔、判官義経主従が都を追われ、越路をめぐって羽前の国の土を踏み、柿色の篠懸に初夏の風をなびかせて、最上川の緑を縫った棧道をさかのぼり、陸奥の藤原....
幽霊」より 著者:小野佐世男
流れ、口にあふれる。歯ぐきから吹きだした血は、顎から糸のようにこぼれる。眼玉は生柿色。グラグラの前歯からは地鳴りのようなうめきがもれる。眼を外らそう、せめて頸だ....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
、ちょうど今日の運動場で売っているような辻占入りの八橋を籠に入れて、俳優の紋所を柿色や赤や青で染め出した紙につつんで、綺麗そうに沢山ならべてあるのを見つけた。わ....