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根気
「根気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
根気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
い。
自分はあなたの八犬伝といい、巡島記といい、あんな長たらしい、拙劣な読本を
根気よく読んであげたが、あなたは私のたった六冊物の読本に眼を通すのさえ拒まれた。....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
も、結婚した暁には大いに便宜があるだろうと云う事――そう事をいろいろ並べ立てて、
根気よく私を説きました。こう云われて見ますと、私も無下《むげ》には断ってしまう訳....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
出来なくなって、頬杖《ほおづえ》をついたり頤《あご》の先へ指をあてがったりして、
根気よく鏡を覗いて見る事もあった。しかし自分でも満足するほど、鼻が短く見えた事は....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
げず、御文やら御歌やら、あるいはまた結構な絵巻やらを、およそものの三月あまりも、
根気よく御遣《おつかわ》しになりました。さればこそ、日頃も仰有《おっしゃ》る通り....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
いたものなのです。ですから帰朝後二三年の間、彼は毎日あのナポレオン一世を相手に、
根気よく読書しているばかりで、いつになったら彼の所謂《いわゆる》『愛《アムウル》....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
府内をさまよって歩いた。物慣れた甚太夫は破れ扇に鳥目《ちょうもく》を貰いながら、
根気よく盛り場を窺《うかが》いまわって、さらに倦《う》む気色《けしき》も示さなか....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
っていた、ある雨《あま》あがりの夜の事である。自分は神田の古本屋《ふるほんや》を
根気よくあさりまわって、欧洲戦争が始まってから、めっきり少くなった独逸《ドイツ》....
「路上」より 著者:芥川竜之介
いてあった。が、今の彼には、その頁に詰まっている思想を咀嚼《そしゃく》するだけの
根気がなかった。彼の頭の中には辰子の姿が、煙草の煙のもつれるように、いつまでも美....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
太郎が、御徒目付《おかちめつけ》、火の番などを召し連れて、番所番所から勝手まで、
根気よく刃傷《にんじょう》の相手を探して歩いたが、どうしても、その「上下《かみし....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
、またかけ直すぜ。」と云いながら、一度所か二度も三度も、交換手に小言を云っちゃ、
根気よく繋《つな》ぎ直させましたが、やはり蟇《がま》の呟《つぶや》くような、ぶつ....
「或る女」より 著者:有島武郎
、あらん限りの知力をしぼった懐柔策も、なんのかいもなく、冷静な思慮深い作戦計画を
根気《こんき》よく続ければ続けるほど、葉子は木部を後ろにかばいながら、健気《けな....
「星座」より 著者:有島武郎
りに拝むようにすり合せて、それで頭を撫《な》でたり、羽根をつくろったりする動作を
根気よく続けては、何んの必要があってか、素早くその位置を二三寸ずつ上の方に移した....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
をまくる。そして自分の心持ちをひときわ謙遜な、そして執着の強いものにし、粘り強い
根気でどうかして山をそのまま君の画帖の中に生かし込もうとする、新たな努力が始まる....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
と本郷の久米の所へ行った。すると南町へ行って、留守だと云うから本郷通りの古本屋を
根気よく一軒一軒まわって歩いて、横文字の本を二三冊買って、それから南町へ行くつも....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
うに珈琲を飲もうと思って努力している。その珈琲はちっとも味がない。その間奥さんは
根気好く黙って、横を向いている。美しい、若々しい顔が蒼ざめて、健康をでも害してい....