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根調
「根調〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
根調の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「百物語」より 著者:森鴎外
召の単物も、帯も、帯止も、ひたすら目立たないようにと心掛けているらしく、薄い鼠が
根調をなしていて、二十《はたち》になるかならぬ女の装飾としては、殆《ほとん》ど異....
「明暗」より 著者:夏目漱石
ぐる》しい影像《イメジ》を一貫している或物を心のうちに認めた。もしくはその或物が
根調《こんちょう》で、そうした断片的な影像が眼の前に飛び廻るのだとも云えた。彼女....
「弓町より」より 著者:石川啄木
も動かず波も立たぬ日があった。私は生れて初めて酒を飲んだ。 ついに、あの生活の
根調のあからさまに露出した北方植民地の人情は、はなはだしく私の弱い心を傷づけた。....
「新生」より 著者:島崎藤村
の音を今更ながらしみじみと聴き惚《ほ》るることがある。これが僕のこのごろの生活の
根調である……」
郊外の中野の方に住む友人の手紙が岸本の前に披《ひろ》げてあっ....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
l empiricism である。厳粛なる経験主義である。近世哲学の底を貫流する
根調である経験的傾向を究極まで徹底せしめて得たる最醇なる経験である。自己の意識状....
「鶏」より 著者:森鴎外
繕は好うがすの」と呼んで、前の往来を通るものがある。糸車のぶうんぶうんは相変らず
根調をなしている。 石田はどこか出ようかと思ったが、空模様が変っているので、止....
「雁」より 著者:森鴎外
中では種々の感情が戦っていた。この感情には自分を岡田の地位に置きたいと云うことが
根調をなしている。しかし僕の意識はそれを認識することを嫌っている。僕は心の内で、....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
が富嶽三十六景においてなせしが如く北寿もまた全画面の彩色中《さいしきちゅう》その
根調《こんちょう》となるべき一色《いっしょく》を選びて常にこれによつて諧音的の効....