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「格子窓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

格子窓の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
って見ても、受験の準備は云うまでもなく、小説を読む気さえ起らなかった。机の前には格子窓《こうしまど》がある、――その窓から外を見ると、向うの玩具問屋《おもちゃど....
僕の帽子のお話」より 著者:有島武郎
て桶のむこうに落ちたと思うと、今度は斜《はす》むこうの三|軒長屋《げんながや》の格子窓の中ほどの所を、風に吹きつけられたようにかすめて通って、それからまた往来の....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
右門は依然くすくすと笑ったままでした。笑いながら、そしてその青白い顔を転じると、格子窓からぬか雨にけむる庭先のぬかるみに向かって、伝六の愚痴をさけるように面をそ....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
ド下を折れて行くと、薄汚いしもた屋の軒に「日本畳新聞社」と小さな看板が出ていた。格子窓の上に掛っている日覆にもその字があった。 戸をあけると、三和土の右側に四....
豚群」より 著者:黒島伝治
ている健二はなおむか/\した。 「おい、お主等どうだい?」 ふと煤煙にすゝけた格子窓のさきから、聞覚えのある声がした。 「おや、君等もやられたんか!」窓際にい....
深夜の市長」より 著者:海野十三
に朗かになったような気持だった。僕はうしろをふりかえってみた。すると、隣りの家の格子窓から、凄い引き眉毛をした、やっと肩あげの取れたばかりのような若い女が巻煙草....
光の中に」より 著者:金史良
、おれを見損いやがったな」 彼は腕をまくし上げた。その時廊下を歩いていた看守が格子窓から覗き込んで、 「山田、坐っておれ!」と呶鳴ったので、それを聞いて私は彼....
人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
は、帆村探偵と正太少年とを放りこんである土牢の前に、そっと近づいた。そして小さい格子窓のところへよった。かすかな豆電球がともっている土牢であった。博士の目は、そ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
の聞くもの舌を巻いた。滝太郎がその挙動を、鋭い目で角の屑屋の物置みたような二階の格子窓に、世を憚る監視中の顔をあてて、匍匐になって見ていた、窃盗、万引、詐偽もそ....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の銀色の蜘蛛糸が斜に扇形となって拡がって行き、末端を横手の円い柱時計の下にある、格子窓の裾に結び付けてあった。 「ハハァ、鉄輪の俥があった頃の趣味だね」と法水は....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
と言って、子分の一人がひッたてるように階下へつれて行った。階段の下に当る、小さな格子窓が一つしかない留置場のような三畳であった。下は板敷で、納戸であるが、使いよ....
開運の鼓」より 著者:国枝史郎
ながらも手からは書物を放さなかった。武経七書を読んでいるのである。 紙の破れた格子窓からすぐに往来が見えていたが、その往来に佇んで小鼓を打っている者がある。麟....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
いてあることだ。私がそれを戸棚にかくすと必ず元のように出してあった。鏡台がひとつ格子窓のそばに置いてあるのも不調和であった。化粧部屋もかねるわけだ。 こんな部....
ふるさとに寄する讃歌」より 著者:坂口安吾
町の人々が噂した。私は裏町に、油くさい庖厨の香を嗅いだ。また裏町に、開け放された格子窓から、脂粉の匂に噎んでいた。湯垢の香に私はしみた。そして太陽を仰いだ。しき....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
りて西風をとざし、港内は平穏なり。舟中吟一首あり。 凝。 (目をこらして毎日船の格子窓に身を寄せてみれば、このましくみる南米の山のおもむきは雄大である。春日の安....