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案じ顔
「案じ顔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
案じ顔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「源おじ」より 著者:国木田独歩
に」 「げにしかり」と老婦《おうな》口を入れて源叔父の顔を見上げぬ。源叔父はもの
案じ顔にてしばし答えず。西の山|懐《ふところ》より真直に立ちのぼる煙の末の夕日に....
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
のであるから、時のかかるのは言うまでもないが、それにしてもちっと遅過ぎると十吉は
案じ顔に言った。お米もなんだか不安に思われたので、七《なな》つ(午後四時)過ぎま....
「芽生」より 著者:島崎藤村
時間しかこの児は生きていなかった。 大久保の家では留守居してくれた人達が様子を
案じ顔に待っていた。私はお菊の死体を抱きながら車から下りた。最早呼んでも返事をし....
「新生」より 著者:島崎藤村
った。
「お二人とも御存じが無い」
主人はまた東洋の果にあるマドマゼエルの身を
案じ顔に、黙ってお母さんの前に立っていた。
八十一
岸本は....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
な態度を見せるからだった。 「なにか、ありましたんでしょう?」 今日も今日とて
案じ顔に、座間の胸のボタンをいじりながらマヌエラが、やさしい上目使いをして訊ねた....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
きあげる潮柱のむこうに、ポツリと帆影のようなものを認めたのだ。まもなく、水夫長が
案じ顔にやってきて、 「どうもね、あの横帆船にゃ見覚えがあるんですがね」 「とは....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
賛成です。」と半蔵が言う。 「さあ、これから先、助郷もどうなろう。」と吉左衛門も
案じ顔に、「これが大問題だぞ。先月の二十二日、大坂のお目付がお下りという時には、....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
|吉左衛門とも一緒になった。 「何しろ、これはえらい騒ぎになった。」と吉左衛門は
案じ顔に言った。「文久元年十月の和宮さまがお通り以来だぞ。千何百人からの同勢をこ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
。そこまで行くと、下男の佐吉が宗太(半蔵の長男)を連れて、主人の帰りのおそいのを
案じ顔に、陣場というところに彼を待ち受けていた。その辺には「せいた」というものを....
「家」より 著者:島崎藤村
が格子戸のところで聞えたので、急に稲垣の細君は勝手の方へ隠れて、やがて娘のことを
案じ顔に裏口からコソコソ出て行った。 「家内は御宅へ参りませんでしたか」と稲垣は....
「家」より 著者:島崎藤村
るような工夫は無いものでしょうか」 世辞も飾りも無い調子で、幸作は主人のことを
案じ顔に言った。姉の消息は三吉も聞きたいと思っていた。 「姉さんは、君、未だそん....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
のがころがり出してしまってさ、翌年の十月のことなのよ。」 と言懸けてお貞はもの
案じ顔に見えたりしが、 「そうそう、芳ちゃん、まだその前にね、旦那がさ、東京へ行....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
るようやく三つ四つ、背高く肉やせたり、顔だち凜々しく人柄も順良に見ゆれどいつも物
案じ顔に道ゆくを、出であうこの地の人々は病める人ぞと判じいたり。さればまた別荘に....
「女難」より 著者:国木田独歩
しむかいでいても決して笑い転げるようなことはありません、二人とも言葉の少ない、物
案じ顔の、色つやの悪い女でしたが、何か優しい低い声でひそひそ話し合っていました。....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
に姿を顕して、苦もなく渡って了った。南日君が下から見上げて「オイ、大丈夫かい」と
案じ顔の捨台詞を残して行く。趾の先が痛くなったのを我慢して、漸く向う側に着くと急....