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桑畠
「桑畠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
桑畠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「岩石の間」より 著者:島崎藤村
懐古園の城門に近く、
桑畠《くわばたけ》の石垣の側で、桜井先生は正木大尉に逢った。二人は塾の方で毎朝合....
「芽生」より 著者:島崎藤村
て行った。 行っても、行っても、お菊の思うような小諸の古い城跡へは出なかった。
桑畠のかわりには、植木苗の畠がある。黒ずんだ松林のかわりには、明るい雑木の林があ....
「新生」より 著者:島崎藤村
一段高い石垣の上の位置から以前の屋敷跡が眼の下に見えた。村の大火は岸本の父の家を
桑畠に変えた。母屋も、土蔵も最早見られなかった。何となく時雨《しぐ》れて来た空の....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
をよして互に手を引合い、漸々大宮の宿を離れて、桶川を通り過ぎ、鴻の巣の手前の左は
桑畠で、右手の方は杉山の林になって居ります処までまいりました。御案内の通り大宮か....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
の無い茶色な髪の娘に逢う。どうかすると、灰色に近いものもある。草葺の小屋の前や、
桑畠の多い石垣の側なぞに、そういう娘が立っているさまは、いかにも荒い土地の生活を....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
も暗い森林の谷は四里あまりにわたっている。旅するものはそこに杣の生活と、わずかな
桑畠と、米穀も実らないような寒い土地とを見いだす。その深い山間を分けて、浪士らは....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
とを除いた以外の建物はほとんど礎ばかり残っていると言っていい。土蔵に続くあたりは
桑畠になって、ところどころに植えてある桐の若木も目につく。 お民は思い出したよ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
いたずらに修繕にのみ手がかかるところから、旧い屋敷の一部は妻籠本陣同様取り崩して
桑畠にしたが、その際にも亡き父|吉左衛門の隠居所だけはそっくり残して置いてある。....
「家」より 著者:島崎藤村
なくお種は弟を連れて、店先の庭の方へ降りた。正太が余暇に造ったという養鶏所だの、
桑畠だのを見て、一廻りして裏口のところへ出ると、傾斜は幾層かの畠に成っている。そ....
「家」より 著者:島崎藤村
二階で、日あたりを描いた額の画の上に、日があたった。春蚕の済んだ後で、刈取られた
桑畠に新芽の出たさま、林檎の影が庭にあるさまなど、玻璃越しに光った。お雪は階下か....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
ねと野に通じて、車をひいて来る百姓の顔は夕日に赤くいろどられて見えた。 麦畑と
桑畠、その間を縫うようにして二人は歩いた。話は話と続いて容易につきようとしなかっ....
「黒い地帯」より 著者:佐左木俊郎
何時まで続くもんだかな? 煉瓦場。――早く止めてくれねえど、本当に困って了うな。
桑畠は勿論だども、俺は何時までも鵞鳥が売れねえしさ。松代さんは嫁に行げねえしさ。....
「都会地図の膨脹」より 著者:佐左木俊郎
のは、とても大きいらしいんだ。そら、甚吉さんの耕っている畠のところに、川に沿うて
桑畠があるな。なんでもあそこらしいって話だぞ。」 「俺の畠のとこへ建てるって? ....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
そこでひとしきり、人通りがあって、もうちと行くと、またひっそりして、やがて大きな
桑畠へ入って、あの熟した桑の実を取って食べながら通ると、ニ三人葉を摘んでいた、田....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
し、この医院に着いてもまだ続いていた。しかし日頃信頼する医者の許に一夜を送って、
桑畠に続いた病室の庭の見える雨戸の間から、朝靄の中に鶏の声を聞きつけた時は、彼女....