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桜
「桜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
桜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
中の彼には明るい心もちのするものだった。(彼は或夜の夢の中にはまだ新しい花札の「
桜の二十」と話していた。しかもその又「
桜の二十」は四五年前のお芳の顔をしていた。....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
しゃ》る方は、御美しかったのでございます。私が一両度御見かけ申しました限でも、柳
桜《やなぎさくら》をまぜて召して、錦に玉を貫いた燦《きら》びやかな裳《も》の腰を....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
ゆ》を一尾《いっぴき》つけた!
初夏の夕明《ゆうあか》りは軒先に垂《た》れた葉
桜の枝に漂《ただよ》っている。点々と
桜の実をこぼした庭の砂地にも漂っている。保吉....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
して過言じゃありません。それほど私は賑《にぎやか》な下座《げざ》の囃《はや》しと
桜の釣枝《つりえだ》との世界にいながら、心は全然そう云うものと没交渉な、忌《いま....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
をした。この時偶然彼の眼は、点々と木かげの苔《こけ》に落ちた、仄白《ほのじろ》い
桜の花を捉《とら》えた。
桜! オルガンティノは驚いたように、薄暗い木立《こだ》ち....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
は甚太夫喜三郎の二人と共に、父平太郎の初七日《しょなぬか》をすますと、もう暖国の
桜は散り過ぎた熊本《くまもと》の城下を後にした。
一
津崎....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
です。我ながらだらしのないのには呆《あき》れますが。(作者註。この間《あいだ》に
桜の散っていること、鶺鴒《せきれい》の屋根へ来ること、射的《しやてき》に七円五十....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
ざいます。そこへ当時の内蔵助の風俗が、墨染の法衣姿《ころもすがた》で、あの祇園の
桜がちる中を、浮《うき》さま浮さまとそやされながら、酔って歩くと云うのでございま....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
これ七八年も前にもなろうか。丁度三月の下旬で、もうそろそろ清水《きよみず》の一重
桜《ひとえざくら》が咲きそうな――と云っても、まだ霙《みぞれ》まじりの雨がふる、....
「死後」より 著者:芥川竜之介
古いくぐり門や黒塀《くろべい》は少しもふだんに変らなかった。いや、門の上の葉
桜の枝さえきのう見た時の通りだった。が、新らしい標札《ひょうさつ》には「櫛部寓《....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ば』を肯定することは頗《すこぶ》るこの論法には危険であります。
「たとえば日本の
桜の花の上にこの論法を用いて御覧なさい。
桜の花の『より善い半ば』は色や形の美しさ....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
天下はどうなってもかまわぬ男じゃ。あの男は琵琶《びわ》でも掻《か》き鳴らしたり、
桜の花でも眺めたり、上臈《じょうろう》に恋歌《れんか》でもつけていれば、それが極....
「運」より 著者:芥川竜之介
物売りの女が二人、簾の目を横に、通りすぎる。一人は手に宿への土産《みやげ》らしい
桜の枝を持っていた。
「今、西の市《いち》で、績麻《うみそ》の※《みせ》を出して....
「近藤浩一路氏」より 著者:芥川竜之介
今頃である。君はその時神経衰弱とか号して甚意気が昂らなかった。が、殆丸太のような
桜のステッキをついていた所を見ると、いくら神経衰弱でも、犬位は撲殺する余勇があっ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
声いとど憐なりし。峠を越え山を下り野にはいろいろの春の草、峰にも尾にも咲きまじる
桜、皆な愉快と悲痛と混じたる強き感じの種となりて胸につかえたる碓氷も過ぎ、中仙道....