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桜湯
「桜湯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
桜湯の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
うぎ》に腰をおろして、花暖簾を軽くなぶる夜風に吹かれていた。彼は女中が汲んで来た
桜湯《さくらゆ》をうまそうに一杯飲んで、ゆったりした態度で往来の人を眺めていた。....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、きょうも御参詣にまいりました」 「鬼子母神様かえ」と、半七はお登久の持って来た
桜湯をのみながら苦笑いをした。「なかなか御信心だねえ。だが、鬼子母神様を拝むより....
「三人の相馬大作」より 著者:直木三十五
え。――」 と、頭を下げて、両手を出した。 「ここは、水茶屋で、酒が無いゆえ、
桜湯を」 「け、けちなことを申されずに、ここを、こう参ると、亀清と申す割烹店が御....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
て、水の流を前にして、眩い日南の糸桜に、燦々と雪の咲いた、暖簾の藍もぱっと明い、
桜湯の前へ立った。 「糸ちゃん、望みが叶うと、よ、もやいの石鹸なんか使わせやしな....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
じゃ切りがないから、もう帰りますよ。」と言って帰って行った後で、女中の持って来た
桜湯に涸いた咽喉を湿して、十時を過ぎて、其家を出た。 午前の市街は騒々しい電車....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
上げてくる。洗髪、素足《すあし》、盆提灯《ぼんちょうちん》、涼台《すずみだい》、
桜湯《さくらゆ》――お邸方や大店《おおだな》の歴々には味えない町つづきの、星空の....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
人情の弱点の怖いもの見たさ、客は昼も夜も満員――夜は通りの四つ角の夜店と、陽気な
桜湯の縁台が、若衆たちのちぢまった肝ったまをホッと救う――....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
れだって、この先どうなることやら……」 アコ長ととど助が二階で風に吹かれながら
桜湯《さくらゆ》を飲んでいると、すぐ後から、濡れた身体へ半纒をひっかけながらあが....
「おせん」より 著者:邦枝完二
郎、それと察した松五|郎から、おもて飾りを見るなんざ大野暮の骨頂でげす。おせんの
桜湯飲むよりも、帯紐解いた玉の肌が見たかァござんせんかとの、思いがけない話を聞い....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
寄るがよい、と云いながら重げに鉄瓶を取り下して、属輩にも如才なく愛嬌を汲んでやる
桜湯一杯、心に花のある待遇は口に言葉の仇繁きより懐かしきに、悪い請求をさえすらり....