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梅雨
「梅雨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
梅雨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
すな。」
谷村博士はこう云いながら、マロック革の巻煙草入れを出した。
「当年は
梅雨《つゆ》が長いようです。」
「とかく雲行きが悪いんで弱りますな。天候も財界も....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
だんならばまだ硝子画《ガラスえ》の窓に日の光の当っている時分であろう。が、今日は
梅雨曇《つゆぐも》りだけに、日の暮の暗さと変りはない。その中にただゴティック風の....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
で、啣《くわ》え楊枝《ようじ》のまま与兵衛を出ると、麦藁帽子《むぎわらぼうし》に
梅雨晴の西日をよけて、夏外套の肩を並べながら、ぶらりとその神下しの婆の所へ出かけ....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
でございましょうな。)
(松本へ行かっしゃる? ああああ本道じゃ、何ね、この間の
梅雨《つゆ》に水が出て、とてつもない川さ出来たでがすよ。)
(まだずっとどこまで....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
の念を生じたのは、おなじ麹町だが、土手三番町に住った頃であった。春も深く、やがて
梅雨も近かった。……庭に柿の老樹が一株。遣放しに手入れをしないから、根まわり雑草....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
うという時分であった。 閏のあった年で、旧暦の月が後れたせいか、陽気が不順か、
梅雨の上りが長引いて、七月の末だというのに、畳も壁もじめじめする。 もっともこ....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
いッ、」 「やあ、」 しっ、しっ、しっ。 この血だらけの魚の現世の状に似ず、
梅雨の日暮の森に掛って、青瑪瑙を畳んで高い、石段下を、横に、漁夫と魚で一列になっ....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
持った鼠色のその革鞄には、以来、大海鼠に手が生えて胸へ乗かかる夢を見て魘された。
梅雨期のせいか、その時はしとしとと皮に潤湿を帯びていたのに、年数も経ったり、今は....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
二十三の女にして、読書界に舌を巻かせた、あの、すなわちその、怪しからん……しかも
梅雨時、陰惨としていた。低い格子戸を音訪れると、見通しの狭い廊下で、本郷の高台の....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
堂を志して、ここまで来ると、あんなに日当りで、車は母衣さえおろすほどだったのが、
梅雨期のならい、石段の下の、太鼓橋が掛った、乾いた池の、葉ばかりの菖蒲がざっと鳴....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
だと申します、入梅から勘定して隠居が来たあとをちょうど同一ように指を折ると、大抵
梅雨あけだと噂があったのでございまして。 実際、おかみさんが出来るようになりま....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
んだ。」 と肩を細うして、背で呼吸をする。 「男らしくもない、そんな事を言って
梅雨期はどうします、まさか蓑笠を着て坐ってやしまい。」 「うむ、何、それがただの....
「多神教」より 著者:泉鏡花
ぬわ。予てうわさの、宿場の娼婦と寝たんべい。唯おくものかと、その奥様ちゅうがや、
梅雨ぶりの暗の夜中に、満水の泥浪を打つ橋げたさ、すれすれの鉄橋を伝ってよ、いや、....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
かった……もうそこの茶店で、大人たちは一度|吸筒を開いた。早や七年も前になる……
梅雨晴の青い空を、流るる雲に乗るように、松並木の梢を縫って、すうすうと尾長鳥が飛....
「山吹」より 著者:泉鏡花
で、とんとはや護摩の煙が渦を巻いているような騒ぎだ。――この、時々ばらばらと来る
梅雨模様の雨にもめげねえ群集だでね。相当の稼ぎはあっただが、もうやがて、大師様が....