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「梅雨空〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

梅雨空の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、自分の肚をはっきりと決め兼ねたのである。 雨は明くる日も降りつづいて、本式の梅雨空となった。その日の暮れかかる頃に、善八が先ず顔をみせた。 「いよいよ梅雨に....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
程凄味がないように思える。 さていよ/\公判の日が来た。大正十三年六月十三日、梅雨空の陰鬱な日だった。 裁判長以下各判事検事等は一段高い所に厳めしく居流れ、....
刻々」より 著者:宮本百合子
ことを話し合って監房の金網から左手の欄間を見上げると、欅《けやき》は若葉で底光る梅雨空に重く、緑色を垂らしている。―― ズーッと入って行って横顔を見、自分はお....
脳の中の麗人」より 著者:海野十三
、着ながしのまま、ぶらりと外へ出た。 怪しい尾行者 雨はあがっていたが、梅雨空の雲は重い。彼は、ふところ手をしたまま、ぶらぶらと鋪道のうえを歩いてゆく。....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
「神職様、おおせでっしゅ。――自動車に轢かれたほど、身体に怪我はあるでしゅが、梅雨空を泳ぐなら、鳶烏に負けんでしゅ。お鳥居より式台へ掛らずに、樹の上から飛込ん....
火葬国風景」より 著者:海野十三
い破局を齎すことになったのも運命の悪戯であろうか。それはこの喫茶店に、露子という梅雨空の庭の一隅に咲く紫陽花のように楚々たる少女が二人の間に入ってきたからであっ....
仲々死なぬ彼奴」より 著者:海野十三
ワと忍びよってくるその衣ずれの音を、ハッキリ聞きわけることができるようになった。梅雨空に重い雲が渦をなして老人の病室近くに舞い下り、枕許につめている人々は、煌々....
上海」より 著者:横光利一
ますます自身の中で跳梁する男の影と蹴り合いを続けるのであった。ふとそのとき、彼は梅雨空に溶け込む夜の濃密な街角から、閃めく耳環の色を感じた。彼はその一点を見詰め....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
だ」とすぐ答えられるであろう程、四方の視野が神戸をそっくり展望させているからだ。梅雨空で、淡路島は見えないが、一ノ谷方面まで、模糊として見渡される。いま通ってき....