梔子[語句情報] » 梔子

「梔子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

梔子の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
オシャベリ姫」より 著者:かぐつちみどり
に、私一人口があるのについては、それはそれは悲しいお話があります。あなたはあの山梔子《くちなし》という花を御存じですか」 と不意に王子は尋ねました。 「ええ、....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
チラ/\瞬いて居る。庭の暗の方から、甘い香や強い刺戟性の香が弗々と流れて来る。山梔子、山百合の香である。「夏の夜や蚊を疵にして五百両」これで蚊さえ居なかったら。....
壊滅の序曲」より 著者:原民喜
》の、ひっそりした姿を湛《たた》えているのだった。次兄にその名称を訊《き》くと、梔子《くちなし》だといった。そういえば子供の頃から見なれた花だが、ひっそりとした....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
座いますが、日が暮れるまえにチョット妙な事が御座いました。……私はそれから裏口の梔子の蔭に莚を敷きまして、煙管を啣えながら先刻の蒸籠の繕い残りを綴くっておりまし....
星女郎」より 著者:泉鏡花
顔よりは、私が何か言うその声の方が、かえってその人の瞳に映るような様子でしょう。梔子の花でないのは、一目見てもはじめから分ってます。 弱りました。汗が冷く、慄....
崖下の池」より 著者:豊島与志雄
かねての約束どおり、高鳥真作が植木をトラックで運んできました。楓、桜、梅、檜葉、梔子《くちなし》、無花果《いちぢく》、沈丁花、椿など、雑多な樹木で、熊笹の数株ま....
黄泉から」より 著者:久生十蘭
唇の色も、どれもみないつかおけいに話してきかせた光太郎の推賞する科目だった。薄い梔子《くちなし》色の麻のタイユウルの胸の襞のようなものは、よく見ると、大胆な葡萄....
十日の菊」より 著者:永井荷風
にその文を思わしむるものがあった。 わたしはしばしば家を移したが、その度ごとに梔子《くちなし》一株を携え運んで庭に植える。啻《ただ》に花を賞するがためばかりで....
河豚」より 著者:吉川英治
のである。 * 毒に中たった場合は、昔から口伝が多い。――山梔子の実を噛ませると吐く。黒砂糖を白湯でのむ。塩の汁をたくさん飲む。樟脳を湯にた....
姫たちばな」より 著者:室生犀星
た。一人は西の方の築地に佇み、一人は東寄りの角の築地のかげに立っていた。一人が山梔子色の狩衣をつけていれば、一人は同じ山吹色の折目正しい狩衣を着ていた。次の夕方....