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梨子
「梨子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
梨子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虫干し」より 著者:鷹野つぎ
注意しながらも、あたりの衣類を指して、思い出話をするのでした。 私は祖父の古い
梨子地《なしじ》の裃《かみしも》というのも見ました。祖母の縫取模様の衣類や帯、父....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
出た。凉み客が港の灯の見える桟橋近くで、ブラブラしていた。 ――林檎、夏蜜柑、
梨子は如何ですか。 道端の物売りがかすれた声で呼んだ。 ――林檎喰べたいな。....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
隊に触れて回った。 伊那の谷から木曾の西のはずれへ出るには、大平峠を越えるか、
梨子野峠を越えるか、いずれにしても奥山の道をたどらねばならない。木曾下四宿への当....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
にも種々ある。第一が黒の蝋色である。それから、朱、青漆、朱うるみ、金|白檀塗り、
梨子地塗りなど。
梨子地には、焼金、小判、銀、錫、鉛(この類は
梨子地の材料で金と銀....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
大きな栃の木が陰をつくって、冷めたそうな水にラムネがつけてあった。かれはラムネに
梨子を二個ほど手ずから皮をむいて食って、さて花茣蓙の敷いてある木の陰の縁台を借り....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
それのようには黒ずんだ色がまじっていない。ただ薄い青々とした色だけだ。その間に、
梨子だの桜だののいろんな白や赤の花が点せつする。そして、それを透かして、向うの家....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
。 紅いその実は高かった。 音が、かさかさと此方に響いて、樹を抱いた半纏は、
梨子を食った獣のごとく、向顱巻で葉を分ける。 「気を付きょうぞ。少い人、落ちまい....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
赤く焼けている胡桃、桜色の頬をしている林檎、露気の多い蜜柑、甘くて頬の落ちそうな
梨子、非常に大きなツウェルブズ・ケーク、ポンス酒の泡立っている大盃などが各自の美....
「東上記」より 著者:寺田寅彦
ぞと言葉を和らげて聞けば、上等室の苅谷さんからこれを貴方へ、と差出す紙包あくれば
梨子二つ。有難しとボーイに礼は云うて早速頂戴するに半分ばかりにして胸つかえたれば....
「兜」より 著者:岡本綺堂
確かに切られたんです。」と、金兵衛は自分の頭をおさえながら言った。「兜の天辺から
梨子割りにされたんです。」 「馬鹿をいえ。おまえの頭はどうもなっていないじゃあね....
「たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
るのであろうなどと、まことにのんきなことを考えながら、峠のてっぺんの茶屋の縁台に
梨子を噛って、四方の風景にながめ入った。 ところが私は、大した事件を発見した。....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
月十九日朝。 拝啓。一昨日は御書を給はり、辱く奉存候。其節御恵贈の朝鮮産西洋種|
梨子、誠にやすらかにして美味、有難存候。彼の争議一件御筆にのせられ候由、以て当今....
「街を行くまゝに感ず」より 著者:小川未明
り、芋を作るのに、どんなに汗水を滴らして働いたか。 また、林檎を栽培し、蜜柑、
梨子、柿を完全に成熟さして、それを摘むまでに、どれ程の労力を費したか。彼等は、こ....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
振りで親父の処へ尋ねて行き、一両小遣を遣ったらば、何で己に小遣をくれるのだ、己は
梨子を一|荷担いで歩き、幾籠売っても一両の金は儲からないのに、己に一両も小遣いを....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
塚にも陰陽師は存していたとみえて、『坊目考』に、 四箇陰陽師は山上・吉備塚幸町・
梨子原(内侍原町)・陰陽町、四箇所乎。 とある。奈良の陰陽師はみな幸徳井の同流....