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梭
「梭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
梭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「竜」より 著者:芥川竜之介
。のみならず神鳴《かみなり》も急に凄じく鳴りはためいて、絶えず稲妻《いなずま》が
梭《おさ》のように飛びちがうのでございます。それが一度鍵の手に群る雲を引っ裂いて....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
はやりうた》を唄って木綿機《もめんばた》を織っている時、旅商人《たびあきんど》が
梭《おさ》の音《ね》を賞めて通ったことを憶出《おもいだ》しました。岡の畠へ通う道....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
今でもまざまざと思い出されるが、もう実感は伴わない。四、五年の間は、関東関西と、
梭のように駆け回った。が、そのうちに、こんなに焦っても、時機が来なければ討てるも....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
かの漁夫たちの口からも、やにわに勇ましいかけ声があふれ出て、君の声に応じた。艪は
梭のように波を切り破って激しく働いた。 岸の人たちが呼びおこす声が君たちの耳に....
「河口湖」より 著者:伊藤左千夫
夢幻の感にうたれる。この朝予は吉田の駅をでて、とちゅう畑のあいだ森のかげに絹織の
梭の音を聞きつつ、やがて大噴火当時そのままの石の原にかかった。千年の風雨も化力を....
「春昼」より 著者:泉鏡花
策子は踵を廻らして、それから、きりきりはたり、きりきりはたりと、鶏が羽うつような
梭の音を慕う如く、向う側の垣根に添うて、二本の桃の下を通って、三軒の田舎屋の前を....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
、うつつに、天人も聞けかしとて、雲井、と銘ある秘蔵の塗胴。老の手捌き美しく、錦に
梭を、投ぐるよう、さらさらと緒を緊めて、火鉢の火に高く翳す、と……呼吸をのんで驚....
「死者の書」より 著者:折口信夫
る。機織りに長けた女も、一人や二人は、若人の中に居た。此女らの動かして見せる筬や
梭の扱い方を、姫はすぐに会得した。機に上って日ねもす、時には終夜織って見るけれど....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
企んだその二役には、微妙なこと、まさに人間|業とも思われない……まるで、機にある
梭糸のような計画があったね。まず、稲野谷という、仮空の人物を作り上げて、それで、....
「多神教」より 著者:泉鏡花
堪忍、堪忍して、よう。堪忍……あれえ。 からりと鳴って、響くと斉しく、金色の機の
梭、一具宙を飛落つ。一同|吃驚す。社殿の片扉、颯と開く。 巫女 (階を馳せ下る。....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
色ある糸の 綾を織る人の一生、 五色の色のさだめは 苧環の繰るにまかせて、 桧の
梭の飛び交うひまに、 綾を織る罪や誉や。 (窓より塔をすかし見て)日は未だ暮れぬ....
「西航日録」より 著者:井上円了
、また左のごとく吟ぜり。 達府湾頭十万家、愛州又見此繁華、街如経緯人如織、幾百飛
梭是電車。 (達府湾のほとりに十万の家が建つ、愛州にもこの繁華なさまをみる。街は....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
。
一体思想の工場も
機屋の工場のようなもので、
一足踏めば千万本の糸が動いて、
梭は往ったり来たりする、
目に止まらずに糸を流れる、
一打打てば千万の交錯が出来....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
でいた。鬼怒沼の美に憧れて稀に訪い来る里人は、八千草の咲き匂う花の中で姫の機織る
梭の音を聞くのが常であった。里人はそれを衣姫と呼びなしていたが、ついぞ姫の姿を見....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
しく首を捻った。 汽車が高田の町に近付いて、後ろに遠ざかり行く此等の山の姿が、
梭の如く飛び交う端山の裾に織り込まれてしまう迄、私達は幾度か窓の外を眺めて、幾度....