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梱
「梱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
梱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
するとすぐに「はい。」と云う、含み声の答があって、そっと障子を開けながら、入口の
梱《しきみ》に膝をついたのは、憐《しおら》しい十七八の娘です。成程これじゃ、泰さ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
の第三条の男員いっさい女座員のへやへ立ち入るまじきことと書いてある文句の下の、手
梱《てごおり》、手箱、衣装なぞが雑然として積み重ねられているその壁のところに、紛....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
みんな着替えを持ってるだろう。どれでもいい、その中からふたり分出せ」 あちらの
梱《こうり》、こちらの
梱をあけて、山のように積みあげた着替えの中から、手に触れた....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ませぬ」 「よし。では、くにの荷物、残らずこれへ取り出せい」 さし出したのは手
梱《てこおり》が一つ、ふろしき包みが一個、孫太郎虫呼び商いの薬箱が一つ。 まず....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
こし悪い病であるが、留守をしながら、いつもは手をつけては怒られるような戸棚の中や
梱の底などをソッと明けてみるのが非常に楽しみだったのである。その日も留守を幸い、....
「ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
歩者」を書いて以来、開けた自由通路だった。押入の襖を開くと、女給の化粧道具や僅の
梱などが抛りこまれてある二重棚の上にとびあがった帆村荘六は、天井板を一枚外して天....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
たネ。なんしろ古いことでもありあまり覚える心算もなかったのでね。ひょっとすると、
梱の底に何か書附けとなって残っているかもしれない」 妾は老人に十分のお礼をする....
「縮図」より 著者:徳田秋声
日町のマダムも出かけた。毎年旅館は決まっていて、六月の半ば過ぎになると、早くも幾
梱かの荷物が出入りの若衆の手で荷造りされ、漬物桶を担ぎ出さないばかりの用意周到さ....
「足迹」より 著者:徳田秋声
来てから、さんざん着きってしまった子供の衣類や、古片、我楽多のような物がまた一ト
梱も二タ
梱も殖えた。初めて東京へ来るとき、東京で流行らないような手縞の着物を残ら....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
捉まえて、やっと這い上った、常念岳や大天井岳が、東の空に見える、谷底から、霧は噴
梱のように、ボツボツと※って来て、穂高岳の無数の絶壁は、咽んで仆れるように、肩か....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
造りはもうすっかりすんでいた。そしてその大部分はすでに発送されたあとらしく、いく
梱かの荷が小ぢんまりと一ところに積んであり、がらんとなった部屋々々は掃除までがき....
「泡盛物語」より 著者:佐藤垢石
をやっていたんだから」 私は、新聞配達しているとき、新聞社から貰った印絆纏が、
梱に入れてあるのを想いだしたのである。地下足袋も股引も、新聞配達には付き物であっ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
缶詰《かんづめ》、暦《こよみ》、小唄集、薬類など、いろんなもののはいってる大きな
梱《こり》を背負《せお》って、村から村へと渡《わた》り歩《ある》いていた。家の人....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
などへ疎開して、空家に留守番だけがいるのでした。そこでそのお家へ、大切な品はよく
梱って幾つか預け、手廻の品だけ持って引移りましたが、どんな些細な物にも名残が惜し....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
でも半分以上が焼失した。私は残った工場と従業員たちで、軍から払下げられた一九式|
梱包用の原紙を使い衣装ばこを作って売出し、家財道具を失った人々に好評を博したもの....