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梳き
「梳き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
梳きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
は眼を見はった。「どうしてわかりました」 「あの死骸の手にも油の匂いがしている。
梳き油や鬢付けの匂いだ。元結を始終あつかっていることは、その指をみても知れる。善....
「幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
、なんと旦那様のお手に握られていたのと全く同じ髪の毛が三、四本、不吉な輪を作って
梳き残されておりました……。 ――いや全く、その時私は、たった今しがた、その鏡....
「メデューサの首」より 著者:小酒井不木
て、時計を見ると三時間も寝たことがわかりましたので、びっくりして鏡に向かって髪を
梳きつけ、例のごとく裸になりますと、その時わたしは思わずもひやっという叫び声を上....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
根元を堅く握り、右手に木曾名物のお六櫛というやつを執った。額から鬢の辺へかけて、
梳き手の力がはいるたびに、お民は目を細くして、これから長く姑として仕えなければな....
「足迹」より 著者:徳田秋声
どうしましょうか。」髪結は油でごちごちした田舎の人の髪を、気味わるそうにほどいて
梳きはじめた。 お庄も母親も、取り外したその髪の道具に側から目をつけていた。 ....
「爛」より 著者:徳田秋声
色が、黄色く鏡に映っていた。 「こら、こんなに禿が大きくなったよ。」 お雪は下
梳きが、癖直しをしているとき、真中のすけた地を、指頭で撫でまわしながら、面白そう....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
とした書き方ではあるがこういうことが書いてあった。 わたくし、此頃髪の前鬢を櫛で
梳きますと毛並の割れの中に白いものが二筋三筋ぐらいずつ光って鏡にうつります。わた....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
まとって、喉から肩のあたりは露出になっていた。女は肩に垂れかかる長い黄いろい髪を
梳きはじめたが、私のほうへは眼もくれずに、耳を傾けるような、注意するような、待つ....
「不肖の兄」より 著者:豊島与志雄
五時頃かと思うが照代はまだ髪を結いかけてるところだった。肩に白布をあててその上に
梳きかけの髪を乱したまま、入口まで立ってきた。 「まあー、」それから一寸睥む真似....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
いわけだ。それから、末起が失望気味ながらページをくるとまたはじまった。 今度は
梳き手がひとり背後にいて、荒歯櫛で解きそろえているところだった。してみると、祖母....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
いよいよ二番目の「四谷怪談」に入った。 その二幕目伊右衛門の浪宅、いわゆる髪|
梳きの場である。 お岩は逢痴、宅悦は小六。舞台は、上手障子内に蚊帳を吊り、六枚....
「或る秋の紫式部」より 著者:岡本かの子
など程よく配置されてある中で式部は机に向って書きものをしている。老侍女は縁で髪を
梳きかけている。隣の庵室には上手を向いて老いさらばった老僧が眼を瞑って端座してい....
「春」より 著者:岡本かの子
ぬ顔で行き過ぎようとして女をそっと視た。渋い古大島の袷に萎えた博多の伊達巻。髪は
梳き上げて頭の頂天に形容のつき兼ねる恰好にまるめてある。後れ毛が垂れないうちに途....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
の髪は、耳朶を掠めて頬を流れ、丸い玉のような肩に崩れ落ちた。それを左の手でそっと
梳き、また右の手でゆっくりと梳いた。梳く度に、薔薇色の日が金髪に映って、虹のよう....
「はつ恋」より 著者:神西清
んなふうに見えたのだ。ジナイーダが、隣の部屋から姿を現わした。黒い服を着て、髪を
梳きだして、青い顔をしている。彼女は無言のまま、わたしの手をとると、自分の部屋へ....