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「梵鐘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

梵鐘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
い青銅の鏡が、銅像鋳造の材料として積み重ねてあるのも見ないわけにはゆかなかった。梵鐘《ぼんしょう》をもって大砲を鋳《い》たのも、危急の際にはやむをえないことかも....
「星座」より 著者:有島武郎
かった。ただこの鐘の音には心から牽きつけられた。寺に生れて寺に育ったせいなのか、梵鐘《ぼんしょう》の音を園は好んで聞いた。上野と浅草と芝との鐘の中で、増上寺の鐘....
「鯉魚」より 著者:岡本かの子
》が中興の開山で、開山堂に国師の像が安置してあります。寺の前がすぐ大堰川の流で「梵鐘《ぼんしょう》は清波を潜《くぐ》って翠巒《すいらん》に響《ひび》く」という涼....
「鰊漁場」より 著者:島木健作
筋の明りを認めたときの気持だった。 枕もとに近い波のおとのあいまあいまに、寺の梵鐘がひびきはじめた。人々の起きる時刻だ。漁夫たちは寝がえりをし、欠びをしはじめ....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
座へでも廻って、また鼻つまりの声で友達とピカソでも論じてるのだろう」 弁天堂の梵鐘が六時を撞く間、音があまりに近いのでわたくしは両手で耳を塞いでいた。 ここ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
るからだ。 「眠い」と庄三郎はまた云った。そうしてゴロリと草へ寝た。と、遠くから梵鐘がゴーンと一つ響いて来た。 「どこかにお寺があると見える」 ……すると、今....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
「や、香具師の姿が見えぬ。はてさて、性急に何処へ行ったものか？」 寺院で鳴らす梵鐘の音が、幽ながらも聞えて来た。夕陽が褪めて暗くなった。 五重の天主の頂上の....
「運命」より 著者:幸田露伴
、非耶。予｜其の逃虚子集を読むに、道衍が英雄豪傑の蹟に感慨するもの多くして、仏灯梵鐘の間に幽潜するの情の少きを思わずんばあらざるなり。 道衍の人となりの古怪な....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
《おか》しかった。で明るく笑った時、その明るさを抑えるかのように、陰気な不気味な梵鐘《ぼんしょう》の音が、盆地の一所から聞こえて来た。 五十一 ....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
ことであった。 折から桜花は故郷の山に野に爛漫と咲き乱れていた。どこからか懶い梵鐘の音が流れてくる花の夕暮、ミチミは杜に手を取られて、静かに呼吸をひきとった。....
「女性の諸問題」より 著者:倉田百三
からかわいたしみったれた考えを起こさずに、恋する以上は霞の靉靆としているような、梵鐘の鳴っているような、桜の爛漫としているような、丹椿の沈み匂うているような、も....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
「アベ マリア！ ……アベ マリア！」 美しい神々しい清浄な声！ ボーン！梵鐘！ 神秘的の音！ それらが虚空へ消えて行く。 この南蛮寺の傍らに、こんも....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
のすぐ側には桜の老木が一杯花をつけていた。風に花びらは散った。そして間を置いては梵鐘が殷々と沈みとどろいて、生のうつり易いことを、この瞬刻のいのちを撞き出してい....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
。金雀子街の道に添うてすくすくと立っている梧桐の木には、夜目にも美しい紫の花が、梵鐘形をして咲いている。家々の庭園には焔のような柘榴の花が珠をつづり槎※たる梅の....
「死の接吻」より 著者:小酒井不木
みれた街路樹の蔭に、首を吊って死んで居る人間の姿を幻視した。況んや、上野や浅草の梵鐘が力なく響き渡って、梟の鳴き声と共に夜の帷が降りると、人々は天空に横わる銀河....