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「棘々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

棘々の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
訴えたかと思うね」 「なに、告白悲劇……とにかく、冗談は止めにして貰おう」 と棘々しい語気で、熊城が遮った。 「どうして冗談なもんか。現に前の幕で、オフェリヤ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
を向けたとき、扉が静かに開かれた。そして、突然何の予告もなしに、久我鎮子の瘠せた棘々しい顔が現われた。その瞬間、グイと息詰るようなものが迫ってきた。恐らくこの学....
橡の花」より 著者:梶井基次郎
ゝ《そもそも》の苦しむもとです。 また電車のなかの人に敵意とはゆかないまでも、棘々《とげとげ》しい心を持ちます。これもどうかすると変に人びとのアラを捜している....
犬神娘」より 著者:国枝史郎
が白い、眼は切れ長で睫毛が濃く、気になるほど険があり、鼻も高く肉薄で鋭く、これも棘々しく思われましたが、口もとなどはふっくりとして優しく、笑うと指の先が沈むほど....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
。 世界中があなたの物になっていても、 取り分けて本国をお愛しなさい。 山々の棘々しい巓が、まだ日の冷たい矢を 背に受けてこらえていても、 もう岩々がどこやら....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
今は正《まさ》に其男に手を差出して触れるべき機会に立ったのである。先方の出す手が棘々満面《とげとげだらけ》の手だろうが粘滑油膩《ぬらぬらあぶら》の手だろうが鱗《....
草藪」より 著者:鷹野つぎ
ものも馳走になったりしたが、この嫁の親切は老いた母の悲しみを余計|刳った。末娘に棘々しくあたる痛みが、どんな嫁のかしずきにも癒やされなかった。ある時にはもう一人....
猫車」より 著者:宮本百合子
ハハハハハ」 その笑いかたには、隣りの座敷にいるお縫が思わず注意をひかれたほど棘々《とげとげ》しさがあった。 重蔵には実の子がなくて、夫婦養子をしてある。年....
戦場」より 著者:夢野久作
大塊。煉瓦塀の逆立ち。軍馬の屍体。そんな地獄じみた障害物が、鼠に噛じられたような棘々しい下弦の月の光りと、照明弾と、砲火の閃光のために赤から青へ、青から紫へ、紫....
野槌の百」より 著者:吉川英治
、雲を見ていた。 かれは、女のことばが、いちいち、村上賛之丞のかわりになって、棘々しく、自分に、責め、逆らって来るように思われてならない。 (返り討ちだ。おれ....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
皆、留守なのだ、こういう折はまたとない。そうだろう朱実」 「なにがです」 「そう棘々しくいうな。もうおまえと馴染んでから小一年、おれの気持もわかったはず、お甲は....