»
棟
「棟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
棟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
………
三 貧困
信輔の家庭は貧しかった。尤《もっと》も彼等の貧困は
棟割長屋《むねわりながや》に雑居する下流階級の貧困ではなかった。が、体裁を繕う為....
「彼」より 著者:芥川竜之介
《ぞんがい》見つけるのに暇《ひま》どらなかった。それは床屋《とこや》の裏になった
棟割《むねわ》り長屋《ながや》の一軒だった。主人は近所の工場《こうじょう》か何か....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
刈りに出かける「ふ」の字軒の主人の話によれば、靴屋は半之丞の前に靴を並べ、「では
棟梁《とうりょう》、元値《もとね》に買っておくんなさい。これが誰にでも穿《は》け....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
聯隊の歩哨《ほしょう》の一人に、今し方|捉《とら》えられて来たのだった。
この
棟《むね》の低い支那家《しないえ》の中には、勿論今日も坎《かん》の火《か》っ気《....
「運」より 著者:芥川竜之介
ら、百年も昔からそうしていたように、ひっそりかんと静まっている。どうやらこの家の
棟《むね》ばかりは、燕《つばめ》さえも巣を食わないらしい。……
翁《おきな》が....
「星座」より 著者:有島武郎
近いとある街路の曲り角にあった。開拓使時分に下級官吏の住居として建てられた四戸の
棟割長屋ではあるが、亜米利加《アメリカ》風の規模と豊富だった木材とがその長屋を巌....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
らよ。勘当された息子じゃねえが、二階で寝ると魘されらあ。身分相当割床と遣るんだ。
棟割に住んでるから、壁隣の賑かなのが頼もしいや。」 「不可ませんよ、そんなことを....
「悠々荘」より 著者:芥川竜之介
出した中を「悠々荘」の後ろへ廻って見た。そこにはもう赤錆のふいた亜鉛葺の納屋が一
棟あった。納屋の中にはストオヴが一つ、西洋風の机が一つ、それから頭や腕のない石膏....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
の筆や、畳一畳敷ほどの西瓜の作ものなどを附け、竹では撓まって保てなくなると、屋の
棟に飾ったなどの、法外に大きなのがあった。また凧の大きなのが流行り、十三枚十五枚....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
る。 爺様の乗った前の車が、はたと留った。 あれ聞け……寂寞とした一条廓の、
棟瓦にも響き転げる、轍の音も留まるばかり、灘の浪を川に寄せて、千里の果も同じ水に....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
いますことね。――久女八が土蜘蛛をやっている、能がかりで評判なあの糸が、破風か、
棟から抜出したんだろう。そんな事を、串戯でなくお思いなすったそうです。 芝居|....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
部合宿所とまた記してある。透して見ると、灰色の浪を、斜めに森の間にかけたような、
棟の下に、薄暗い窓の数、厳穴の趣して、三人五人、小さくあちこちに人の形。脱ぎ棄て....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
。 彼が家に入ったとき、彼の心は完全に圧倒されてしまった。ひろびろとした家で、
棟は高いが、屋根の勾配はゆるやかで、その建築様式は初期のオランダの移住民から伝え....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
いたほどであるから、あるいは桃だろうとも言うのである。 紫の雲の、本願寺の屋の
棟にかかるのは引接の果報ある善男善女でないと拝まれない。が紅の霞はその時節にここ....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
だ。このポケット本の中にちゃんともう誰か書き尽している。――『玉敷きの都の中に、
棟を並べ甍を争へる、尊き卑しき人の住居は、代々を経てつきせぬものなれど、これをま....