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棠
「棠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
棠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
六、七の可憐《かれん》きわまりなき美少女でありました。さながら雨にぬれ沈んだ秋海
棠《しゅうかいどう》をみるがごとき可憐さで、もの思わしげにうち震えていたものでし....
「新生」より 著者:島崎藤村
人の寝像を思出した。あの古い御堂を囲繞《とりま》く鉄柵《てっさく》の中には、秋海
棠《しゅうかいどう》に似た草花が何かのしるしのようにいじらしく咲き乱れていたこと....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
控えたのと、擦違いに、お妙は衝と抜けて、顔に当てた袖を落した。 雨を帯びたる海
棠に、廊下の埃は鎮まって、正午過の早や蔭になったが、打向いたる式台の、戸外は麗な....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
矢車草、風露草、金魚草、月見草、おいらん草、孔雀草、黄蜀葵、女郎花、男郎花、秋海
棠、水引、鶏頭、葉鶏頭、白粉、鳳仙花、紫苑、萩、芒、日まわり、姫日まわり、夏菊と....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
なたのお顔! どこに一点美しかった昔の面影がございましょう? 昔のお顔は満開の海
棠、今のお顔は腐った山梔、似たところとてはございません。……その代り安全でござい....
「家」より 著者:島崎藤村
を始め、正太、お仙まで、朝のうちに奥座敷へ集った。三吉も夏服に着更えて、最早秋海
棠などの咲出した裏庭を皆なと一緒に眺めながら、旅の脚絆を当てた。ここへ来がけに酷....
「甲州鎮撫隊」より 著者:国枝史郎
年季入れたの」 「へい」 木蘭は、その大輪の花を、空に向かって捧げているし、海
棠の花は、悩める美女に譬えられている、なまめかしい色を、木蓮の、白い花の間に鏤め....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
ことにした。 「でも随分待たせるわねえ」 まだ十分しか待たないのに。 床に海
棠がいけてあった。春山の半折が懸かっていた。残鶯の啼音が聞こえて来た。次の部屋で....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
人で遊びましょう。色々の花が咲きました、桜に山吹に小手毬草に木瓜に杏に木蘭に、海
棠の花も咲きました」こう云ったのは弁才坊。 「ほんとにほんとにこのお庭は、お花で....
「柳営秘録かつえ蔵」より 著者:国枝史郎
ことが来ることになった。将軍|家斉の眼に止まり、局へ納れられることになった。秋海
棠が後苑に咲き、松虫が籠の中で歌う季節、七夕月のある日のこと、葵紋付の女駕籠で、....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
村落からは、犬の吠え声と鶏の啼き声とが聞こえ、藁家の垣や庭には、木蓮や沈丁花や海
棠や李が咲いていたが、紗を張ったような霞の中では、ただ白く、ただ薄赤く、ただ薄黄....
「おせん」より 著者:邦枝完二
。おはずかしゅうござんすが。……」 消えも入りたいおせんの風情は、庭に咲く秋海
棠が、なまめき落ちる姿をそのまま悩ましさに、面を袂におおい隠した。 じッと、釘....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
面には女郎花が一番高く咲いて鶏頭はそれよりも少し低く五、六本散らばって居る。秋海
棠はなお衰えずにその梢を見せて居る。余は病気になって以来今朝ほど安らかな頭を持っ....
「薬前薬後」より 著者:岡本綺堂
矢車草、風露草、金魚草、月見草、おいらん草、孔雀草、黄蜀葵、女郎花、男郎花、秋海
棠、水引、※頭、白粉、鳳仙花、紫苑、萩、芒、日まわり、姫日まわり、夏菊と秋の菊数....
「青い紐」より 著者:田中貢太郎
れを中に二枚の蒲団が敷いてあった。むこうの左隅には小さな机があって、その上に秋海
棠のような微紅い草花の咲いた鉢を乗せてあるのが見えた。 「穢い処よ」 女は後の....