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森厳
「森厳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
森厳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
台に乗り移れり。 渠の形躯《かたち》は貴公子のごとく華車《きゃしゃ》に、態度は
森厳《しんげん》にして、そのうちおのずから活溌《かっぱつ》の気を含めり。陋《いや....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
の疑いは晴れたぞッ。立ちませい! 帰っても苦しゅうない、宿もとへさがりませい!」
森厳、神のごとき声でした。いっせいにざわめきのあがった中を、さぞやうち喜んで飛ん....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
翌年の五月、ちょうど満一年の後に、徳次は世田ヶ谷の北沢村へ出かけました。そこには
森厳寺という寺があって、その寺中に淡島明神の社があります。その寺で淡島さま御夢想....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
の他硬骨の士五十人、刀の錆となったのであった。 そこへ起こったのが家督問題で、
森厳沈痛の晴信よりも颯爽軽快の次子信繁の方が、信虎の性質に合うところから、それを....
「槍ヶ岳第三回登山」より 著者:小島烏水
れ、雲は舞って、山までが上ったり、下ったりしている、森林も揺々と動いている、私は
森厳なる大気の下で、吹き飛ばされそうな帽子をしかと押え、三角標の破片に抱きついて....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
ば白檜帯は、脚下に圧しつけられ、背丈を揃えた庭の短木のように、いじけて、それでも
森厳として、太古ながらの座席を衛っている、そして片唾を飲んだように、静まり返って....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
士の女神にさす背光を、支持する大柱であるかの如く、大鳥居まで直線の路をはさんで、
森厳に行列している。その前列の石燈籠は、さまで古いものとは思われないが、六角形の....
「ウィリアム・ウィルスン」より 著者:佐々木直次郎
村には節瘤だらけの大木がたくさんあって、どの家もみなひどく古風だった。実際、その
森厳な古い町は、夢のような、心を鎮めてくれる場所であった。いまでも、私は、空想で....
「黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
まざまな方向に走っている深い峡谷は、あたりの風景にいっそう凄然《せいぜん》とした
森厳の趣をそえているのであった。 我々のよじ登ったこの天然の高台には茨《いばら....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
の僧都。(年老いたる海坊主)美女。博士。 女房。侍女。(七人)黒潮騎士。(多数)
森厳藍碧なる琅※殿裡。黒影あり。――沖の僧都。 僧都 お腰元衆。 侍女一 (薄色....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
一時の遊戯に過ぎないとばかり思っていたのだが、朧ろ気ながらも人生と交渉する厳粛な
森厳な意味を文学に認めるようになったのはこの初対面に由て得た二葉亭の賜物であって....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
居る。遙かの彼方を眺めますとヒマラヤの雪峰が朧に聳えて居る。その朧気な夜景は真に
森厳にして侵すべからざる威風を備えて居るので、何となく無限の感に打たれて五、六首....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
して、通れと一言|押柄に許しける。 十兵衛これに力を得て、四方を見廻わしながら
森厳しき玄関前にさしかかり、お頼申すと二三度いえば鼠衣の青黛頭、可愛らしき小坊主....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
極楽浄土に引摂されるという弥陀の本願の教えが、ただ一つ人心を救う宗教でありうる。
森厳な道理を世相の推移の中に探究しようとしても、それは常人には不可能の業にすぎな....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
幾千の登山者が草鞋の痕を踏み付けるにしても、夫が何の障りになったとも想われない。
森厳なる自然の殿堂を其鎮座の所として、おごそかなる式のもとに開かるる神龕の前に額....