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森林
「森林〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
森林の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「早春」より 著者:芥川竜之介
えすれば好《い》い。彼は帰りたさをこらえたまま、標本室の中を歩きまわった。熱帯の
森林を失った蜥蜴や蛇の標本は妙にはかなさを漂《ただよ》わせている。これはあるいは....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
人を避けて、山間の自然に親しみ勝ちであった。どうかすると一夜中《ひとよじゅう》、
森林の奥を歩き廻って、冒険を探す事もないではなかった。その間に彼は大きな熊や猪《....
「或る女」より 著者:有島武郎
も思われぬ薄い紫色の色素がそのまわりに現われて来ていた。それが葉子の目にたとえば
森林に囲まれた澄んだ湖のような深みと神秘とを添えるようにも見えた。鼻筋はやせ細っ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
度なく降って来た。人間の哀れな敗残の跡を物語る畑も、勝ちほこった自然の領土である
森林も等しなみに雪の下に埋れて行った。一夜の中《うち》に一尺も二尺も積り重なる日....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
に風が冷たくなった理由を会得《えとく》することが出来た。
というのは目の前に大
森林があらわれたので。
世の譬《たとえ》にも天生《あもう》峠は蒼空《あおぞら》....
「初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
劫初《ごうしょ》以来人の足跡つかぬ白雲落日の山、千古斧入らぬ蓊鬱《おううつ》の大
森林、広漠《こうばく》としてロシアの田園を偲《しの》ばしむる大原野、魚族群って白....
「栃の実」より 著者:泉鏡花
にも、この森で一度雨の降らぬ事はねえのでの。」清水の雫かつ迫り、藍縞の袷の袖も、
森林の陰に墨染して、襟はおのずから寒かった。――「加州家の御先祖が、今の武生の城....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
く、枝が茂った。一里ゆき、二里ゆき、三里ゆき、思いのほか、田畑も見えず、ほとんど
森林地帯を馳る。…… 座席の青いのに、濃い緑が色を合わせて、日の光は、ちらちら....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
いものと見えまして、湛えた水は藍を流したように蒼味を帯び、水面には対岸の鬱蒼たる
森林の影が、くろぐろと映って居ました。岸はどこもかしこも皆割ったような巌で、それ....
「森先生」より 著者:芥川竜之介
顔の立派なる事、神彩ありとも云うべきか、滅多に世の中にある顔ならず。名刺を見れば
森林太郎とあり。おや、先生だったかと思いし時は、もう斎場へ入られし後なりき。その....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
た。 十二月二十九日にパリを立ち、郊外のフォンテン・ブローを過ぐる際、折りしも
森林は一面に結晶した白い氷で被われて、非常な美観の実験をなし、これの起す電気にて....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
らついて」いたのだ。彼はコネティカット州の生れだったが、その州はアメリカじゅうに
森林の開拓者はもちろん学問の開拓者も供給し、毎年大ぜいの木樵を辺境におくり、教師....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
佐々木氏の祖父の弟、白望に茸を採りに行きて宿りし夜、谷を隔てたるあなたの大なる
森林の前を横ぎりて女の走り行くを見たり。中空を走る様に思われたり。待てちゃアと二....
「西航日録」より 著者:井上円了
取る露士亜かな 翌九日、早朝より車外を望むに、四面一体に荒漠無限の平原にして、
森林数里にわたり、その間往々麦田を挟むを見る。しかして人家は極めて疎にして、その....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
谷、大場両氏とともに、もと王室の所有にかかりしエッピング・フォレストに遊ぶ。その
森林数里にまたがり、樹下の清風襟を洗うに足る。 十七日、晴れ。風冷ややかにして....