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棲
「棲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
棲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
と続いている。水際《みずぎわ》の蘆《あし》の間には、大方《おおかた》蟹《かに》の
棲家《すみか》であろう、いくつも円《まる》い穴があって、そこへ波が当る度に、たぶ....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
ん、わん、御妹《おいもとご》様の御姫様は笠置山《かさぎやま》の洞穴《ほらあな》に
棲《す》んでいる土蜘蛛《つちぐも》の虜《とりこ》になっています。」と、主人の顔を....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
情が純粋なものでない事を覚った時、一方僕の軽挙を後悔すると同時に、そう云う僕と同
棲《どうせい》しなければならない妻も気の毒に感じたのだ。僕は君も知っている通り、....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ち著作権の失われたる後、万人《ばんにん》の購《あがな》うところとなるべし。予の同
棲《どうせい》せる女友だちは如何?
答 彼女は書肆《しょし》ラック君の夫人とな....
「貉」より 著者:芥川竜之介
二月が始めなのであろう。
勿論|貉《むじな》は、神武東征の昔から、日本の山野に
棲《す》んでいた。そうして、それが、紀元千二百八十八年になって、始めて人を化かす....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
誰も捨てて顧る者がなかった。するとその荒れ果てたのをよい事にして、狐狸《こり》が
棲《す》む。盗人《ぬすびと》が
棲む。とうとうしまいには、引取り手のない死人を、こ....
「路上」より 著者:芥川竜之介
があるのを。」
「勿論覚えている。」
「じゃ聞いてくれ。僕はあの女とこの間まで同
棲していたんだ。」
俊助は好奇心が動くと共に、もう好い加減にアルコオル性の感傷....
「竜」より 著者:芥川竜之介
どと哂《わら》うものもございました。けれども中には『竜王が鎮護遊ばすあの池に獺の
棲《す》もう筈もないから、それはきっと竜王が魚鱗《うろくず》の命を御憫《おあわれ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
仕止めたことがあった。また時にはいつになっても春を知らない峰を越えて、岩石の間に
棲《す》んでいる大鷲《おおわし》を射殺しにも行ったりした。が、彼は未嘗《いまだか....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
る外にも、その又あらゆる結合を無限に反覆して行かなければならぬ。して見れば我我の
棲息《せいそく》する地球も、――是等の結合の一つたる地球も太陽系中の一惑星に限ら....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
爺さんに伺って見ましたら、それはこちらの世界でもよほど珍らしい鳥で、現界には全然
棲んでいないと申すことでございました。尤も音色が美しい割に毛並は案外つまらない鳥....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
、之に反して良人の方では下降する。が、愛の絆はこれが為めに断絶することはない。同
棲はしないが交通はする。距離は地上に於てすら無視することができる。霊界にありては....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
か考えているようでしたが、やがて又にっこり笑いながら、 「いかにもおれは峨眉山に
棲んでいる、鉄冠子という仙人だ。始めお前の顔を見た時、どこか物わかりが好さそうだ....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
快活な人間だったのである! 何を見ても嬉しかった。途ゆく女の姿、街の眺め、自分の
棲んでいる場所、――何からなにまで私には嬉しくて堪らなかった。私はまた自分の身に....
「初雪」より 著者:秋田滋
左手に大きな山毛欅の木が幾株かある。四時頃になると、もの淋しい鴉の群はそこへ来て
棲り、かしましく啼きたてる。こうして、かれこれ一時間あまりの間、その鴉の群は梢か....