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棲む
「棲む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
棲むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
るとその荒れ果てたのをよい事にして、狐狸《こり》が棲《す》む。盗人《ぬすびと》が
棲む。とうとうしまいには、引取り手のない死人を、この門へ持って来て、棄てて行くと....
「春昼」より 著者:泉鏡花
は高等|淫売の上りだろうなどと、甚しい沙汰をするのがござって、丁と底知れずの池に
棲む、ぬしと言うもののように、素性が分らず、ついぞ知ったものもない様子。」 「何....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
たり、宵の明星の色さえ赤い。……なかなか雨らしい影もないな。 百合 ……その竜が
棲む、夜叉ヶ池からお池の水が続くと申します。ここの清水も気のせいやら、流が沢山痩....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
て、他の人間はたいがい風だ。中にも、ぬしというものはな、主人というものはな、淵に
棲むぬし、峰にすむ主人と同じで、これが暴風雨よ、旋風だ。一溜りもなく吹散らす。あ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
召すか。それとも、私が挙動に、心騒ぎのせらるるか。客僧方には見えまいが、地の底に
棲むものは、昼も星の光を仰ぐ。御姿かたちは、よく見えても、かしこは天宮、ここは地....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
もに蹌踉する。 が、いかに朽ちたればといって、立樹の洞でないものを、橋杭に鳥は
棲むまい。馬の尾に巣くう鼠はありと聞けど。 「どうも橋らしい」 もう一度、試み....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
、禁厭とも言うのじゃよ、金烏玉兎と聞くは――この赫々とした日輪の中には三脚の鴉が
棲むと言うげな、日中の道を照す、老人が、暗い心の補助に、烏瓜の灯は天の与えと心得....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
。この町からは、間に大川を一つ隔てた、山から山へ、峰続きを分入るに相違ない、魔の
棲むのはそこだと言うから。 「お実家はどこじゃ。どういう人が居さっしゃる。」 「....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
草は枯れつつ苔滑。牡丹を彫らぬ欄干も、巌を削った趣がある。あまつさえ、水底に主が
棲む……その逸するのを封ずるために、雲に結えて鉄の網を張り詰めたように、百千の細....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
※々も居まいし、第一|獣の臭気がしません。くされたというは心持で、何ですか、水に
棲むもののような気がするし、森の香の、時々峰からおろす松風と一所に通って来るのも....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
そんなことより滝さん、もっと立派な、日本晴の盗賊がありやしないかしら。 主の
棲む淵といえば誰も入ったものはあるまい。昔から人の入らない処なら、中にまたどんな....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
問『夫婦の竜神は矢張り同棲するものでございますか?』 答『竜神にとりて、一緒に
棲む、棲まぬは問題でない。竜神の生活は自由自在、人間のように少しも場所などには縛....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
木の葉の褌を緊一番せよ。 さりながらかかる太平楽を並ぶるも、山の手ながら東京に
棲むおかげなり。 奥州……花巻より十余里の路上には、立場三ヶ所あり。その他はただ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
すように。それに居まわりが居留地で、寂として静かだから、海まで響いて、音楽の神が
棲む奥山から谺でも返しそうです。その音楽の神といえば、見たまえ、この硝子窓の向う....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
したのが、整然として手で梳いたように敷いてあった。 俗に言伝える。天狗、狗賓が
棲む、巨樹、大木は、その幹の肢、枝の交叉の一所、氈を伸べ、床を磨いたごとく、清く....