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「楊枝〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

楊枝の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
せん十月の二十八日、かれこれ午前七時頃でございましょうか。私が井戸|端《ばた》で楊枝《ようじ》を使っていると、妻は台所で釜の飯を移している。――その上へ家がつぶ....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
八 寄席《よせ》へ行った翌朝《よくあさ》だった。お蓮《れん》は房楊枝《ふさようじ》を啣《くわ》えながら、顔を洗いに縁側《えんがわ》へ行った。縁側....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
んとも大分懇意になっているから。」「何分頼む。」――こう云う調子で、啣《くわ》え楊枝《ようじ》のまま与兵衛を出ると、麦藁帽子《むぎわらぼうし》に梅雨晴の西日をよ....
或る女」より 著者:有島武郎
こうとはこれっぱかりも思ってはおりません」 といって葉子は指の間になぶっていた楊枝《ようじ》を老女史の前にふいと投げた。 「しかし愛子も貞世も妹でございます。....
婦系図」より 著者:泉鏡花
馳走をしない人に、たとい※が葱臭かろうが、干鱈の繊維が挟っていそうであろうが、お楊枝を、と云うは無礼に当る。 そこで、止むことを得ず、むずむずする口を堪える下....
天守物語」より 著者:泉鏡花
れば、誰かの櫛に牡丹も刻めば、この獅子頭も彫った、近江之丞桃六と云う、丹波の国の楊枝削よ。 夫人 まあ、(図書と身を寄せたる姿を心づぐ)こんな姿を、恥かしい。 ....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
って来る、男は膚脱ぎになって、手をぐたりとのめり、女が媚かしい友染の褄端折で、啣楊枝をした酔払まじりの、浮かれ浮かれた人数が、前後に揃って、この小路をぞろぞろ通....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
業がすたれて、夥間が食うに困ったと思え。弓矢取っては一万石、大名株の芸人が、イヤ楊枝を削る、かるめら焼を露店で売る。……蕎麦屋の出前持になるのもあり、現在私がそ....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
お前さん、可い御機嫌で。」 とニヤリと口を開けた、お媼さんの歯の黄色さ。横に小楊枝を使うのが、つぶつぶと入る。 若い衆飛んで来て、腰を極めて、爪先で、ついつ....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
」 すっと出て、 「さては……」 「何が(さては。)だい。」 と噛んでいた小楊枝を、そッぽう向いて、フッと地へ吐く。 八 老人は膝に扇子、恭....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
伊作」と女の音で、扉で呼ぶ。 「婆さんや、人が来た。」「うう、お爺さん」内職の、楊枝を辻占で巻いていた古女房が、怯えた顔で――「話に聞いた魔ものではないかのう。....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
んで話すがね、ちょいと聞賃をあげるから。」 と菓子皿を取出して、盛りたる羊羹に楊枝を添え、 「一ツおあがり、いまお茶を入替えよう。」 と吸子の茶殻を、こぼし....
黒百合」より 著者:泉鏡花
からは畳を歩行く跫音もしない位、以前の俤の偲ばるる鏡台の引出の隅に残った猿屋の小楊枝の尖で字をついて、膝も崩さず母親の前に畏って、二年級のおさらいをするのが聞え....
三枚続」より 著者:泉鏡花
居酒屋、煮染屋の出入、往復、風を払って伸しましたわ、すると大変。 暗がりを啣え楊枝、月夜には懐手で、呑気に歩行いてると、思いがけねえ狂犬めが噛附くような塩梅に....
式部小路」より 著者:泉鏡花
う藪だ、破竹か、孟宗か、寒竹か、あたまから火をつけて蒸焼にして噛ると、ちと乱だ。楊枝でも噛むことか、割箸を横啣えとやりゃあがって、喰い裂いちゃ吐出しまさ。 大....