楷書[語句情報] » 楷書

「楷書〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

楷書の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
文章」より 著者:芥川竜之介
と答えたぎり、茫然と罫紙へ目を落した。罫紙には叙任《じょにん》の年月ばかり細かい楷書《かいしょ》を並べている。これはただの履歴書ではない。文官と云わず武官と云わ....
城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
手を拡げている図などの記憶が、次つぎ憶い出されて来た。 国定教科書の肉筆めいた楷書の活字。またなんという画家の手に成ったものか、角のないその字体と感じのまるで....
青木の出京」より 著者:菊池寛
はぶるぶる震える手で裏を返して見た。そこには、明確に過ぎると思われるほど、丁寧な楷書で、広井雄吉と署名されて、捺印されている。 「俺《わし》はもう何もいわない。....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
いて就職案内欄を見た。質札を売りに来る客と応待する合間を盗んで、履歴書を書いた。楷書の字が拙かったので、一通書くのに十枚も反古が出来た。十通ばかり書いたが、面会....
世相」より 著者:織田作之助
十四歳)A型、勤務先大阪府南河内郡林田村林田国民学校」と達筆だが、律義そうなその楷書の字が薄給で七人の家族を養っているというこの老訓導の日々の営みを、ふと覗かせ....
朱日記」より 著者:泉鏡花
目に赤く映ったのが、これなんだ。」 と両手で控帳の端を取って、斜めに見せると、楷書で細字に認めたのが、輝くごとく、もそりと出した源助の顔に赫ッと照って見えたの....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
は、主膳はこのごろ、書道に於てこういうことを考えはじめているのです。 どうも、楷書《かいしょ》を本格に手に入れてからでなければ、書道を語ることはできない。出直....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ものは、前に斎藤一と名乗る男が手にしていた御紋章の提灯とは事変り、「誠」の一字が楷書で、遠く離れていても歴々《ありあり》と読み取り得られるほどに鮮かに記されてあ....
投手殺人事件」より 著者:坂口安吾
たという計略を用意しておいたのだ。ところがさ。あいにく契約書の署名がハッキリした楷書でね、停車中でなければ決して書けない書体だったのさ。米原に停車中には、先ず、....
カタカナニツイテ」より 著者:伊丹万作
ニスギナイ。スナワチ形カライエバ草書ト少シモカワリハナイノデアル。シカルニ草書ト楷書ハ、コレヲ混ゼコジヤニ布置シタ場合ケツシテ調和スルモノデハナイ。シタガツテ楷....
次郎物語」より 著者:下村湖人
款だったのである。 「先生だそうだ。」 「先生が? どうして、誰にもわかるように楷書で書かれなかったんでしょう。」 「楷書で書くと、生徒より下手だから、みんなが....
地上」より 著者:島田清次郎
彼は書き終って読み返すことを恐れて、そのまま封筒に入れて大きく習字の時のように楷書で「吉倉和歌子様、親展」と書いた。すると重荷を下ろして一休みする時のような澄....
可能性の文学」より 著者:織田作之助
究が欠如していたからではあるまいか。だから、新感覚派運動もついに志賀直哉の文学の楷書式フォルムの前に屈服し、そしてまた「紋章」の茶会のあの饒慢な描写となったので....
水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
。 『ウム。怪しいぞ』と呟きつつ彼れは第二の封筒の封を切った。中には一枚の紙片に楷書で筆太に、 「貴下のなしつつあるすべては皆無益にしてかつ危険なり……速に断念....
葛飾土産」より 著者:永井荷風
化九年壬申三月建、本郷村中世話人惣四郎」と勒《ろく》されていた。そしてその文字は楷書であるが何となく大田南畝《おおたなんぼ》の筆らしく思われたので、傍《かたわら....