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「楽境〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

楽境の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
心得ているアリ・ババとさらに違いはない。その呪文が唱えられた時、いかなる未知の歓楽境がお君さんの前に出現するか。――さっきから月を眺めて月を眺めないお君さんが、....
少女病」より 著者:田山花袋
車に乗ったということだけで心が落ちついて、これからが――家に帰るまでが、自分の極楽境のように、気がゆったりとなる。路側のさまざまの商店やら招牌やらが走馬燈のよう....
蠅男」より 著者:海野十三
ても突き止めねば、再び東京へかえらないと心に誓った青年探偵帆村荘六は、身はいま歓楽境宝塚新温泉地にあることさえ全く忘れ、全身の神経を両眼にあつめて疎林の木立の間....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
てあのベルレーヌやボードレールを産出せしめたところのイースセティシズムの絶対的享楽境であるというが、私はしか信ずることはできない。イースセティシズムにはある限り....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
じっとく》とおんなじような息吹《いぶき》をしているように、子供心にも老人の無為の楽境を意識せずに感じていた。 さて教場の方は? これは区役所の控所とも、授産場....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
、忙しそうに又|長閑そうに、往くさ来るさしているではないか。 無理もない! 歓楽境なのだから。 だから往来の片側には、屋台店が並んでおり、見世物小屋が立って....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
ば、化物屋敷めいて聞こえはするが、決してそのようなものではなくて、一種の下賤の歓楽境なのであった。水戸様の建築の用材の石を、積み重ねておく置き地があったが、空地....
一世お鯉」より 著者:長谷川時雨
ェーへだとて、飲料《のみもの》がほしければはいりそうなものであるが、若い人の、歓楽境のようにされてるそうしたところへは、女人《おんな》はまず近よらない方がいいと....
豊竹呂昇」より 著者:長谷川時雨
えりうら》ふかく埋もれて、あれやこれやはてしなくする想像は、私にとっては一日中の楽境であり、愉快な空想の天国でもあり、起出《おきだ》してしまえば何にも貧しく乏し....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
の町。 山の町と一口にいっても、ここは世界に著名《なだた》るアルプス山麓の大遊楽境、宏壮優雅な旅館《ホテル》・旗亭《レストオラン》が甍《いらか》をならべ、流行....
日和下駄」より 著者:永井荷風
》さもある。隠棲の平和もある。失敗と挫折と窮迫との最終の報酬なる怠惰と無責任との楽境《らくきょう》もある。すいた同士の新世帯《しんしょたい》もあれば命掛けなる密....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
充たされるようなこと。家庭愛極楽、家庭というものが認められて来て、そこを中心に安楽境を作ろうとする傾向が多くなって来ました。設備極楽、いろいろの設備でだいぶ公衆....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
りだが、これはまさしく現実に活動し、匍匐し、生殖し、吼哮する海獣の、修羅場の、歓楽境の、本能次第の、無智の、また自然法爾の大群集である。 ぎゃお、わお、がお、う....
特殊部落の人口増殖」より 著者:喜田貞吉
口増加率よりも甚だしく多かったというのは確実なる事実である。そしてそれが彼らを安楽境から脅して、細民部落ともなし密集部落ともなした後にも、なお旧来の習慣は存続し....
早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
に足を踏み入れると、忽ちそこは純然たる下町気分の狭斜のちまたであり、柳暗花明の歓楽境に変じているのであるが、その山の手式の気分と下町式の色調とが、何等の矛盾も隔....