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楽手
「楽手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
楽手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「セロ弾きのゴーシュ」より 著者:宮沢賢治
。けれどもあんまり上手でないという評判でした。上手でないどころではなく実は仲間の
楽手のなかではいちばん下手でしたから、いつでも楽長にいじめられるのでした。 ひ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
波を切り、だんだんと早くなる一定のテンポを取って沖に乗り出して行くさまは、力強い
楽手の手で思い存分大胆にかなでられる Allegro Molto を思い出させず....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
すかな角燈の光を見つけ、そっとそこへ歩いて行った。するとそこには年の若い軍楽隊の
楽手が一人甲板の上に腹ばいになり、敵の目を避けた角燈の光に聖書を読んでいるのであ....
「ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
ずませて、席を立った。彼女の悩ましい体臭の影にぴったりとついて行くと、チェリーは
楽手のいないピアノの側へつれていった。 「用て、なんだい」私は訊いた。 「解って....
「旅日記から」より 著者:寺田寅彦
かまったりした。そうして息をはずませているらしく肩から胸が大きく波をうっていた。
楽手らはめいめいただ自分の事だけ思いふけってでもいるようにまた自分らの音楽の悲哀....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
花見の船が浮かび、おでんが煮えつまりつつあった。 就中、一艘のボートには大勢の
楽手がいて、素晴らしい行進曲を奏ではじめた。 それがとてもやかましいので少しう....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
に貼った黄色い紙が、あやうく飛びそうに土けむりにはたを自動車の腹へ掛けて、三人の
楽手が、それでもみずからの貧しい旋律に十分陶酔して疾駆し去った。漢字の旗が板みた....
「根岸庵を訪う記」より 著者:寺田寅彦
方へ足が向いたが丁度その前まで行くと一切り済んだのであろうぴたりと止めてしまって
楽手は煙草などふかしてじろ/\見物の顔を見ている。後ろへ廻って見ると小さな杉が十....
「シンデレラ」より 著者:水谷まさる
いお姫さまを見ると、みんな踊をやめて見とれてしまいました。バイオリンを弾いていた
楽手達も、同じように見とれて、弾く手をやめてしまいました。 『いったい、どなただ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
う。」――しかしそれが確かかどうかはわからなかった。ようやくほっと安心するのは、
楽手たちが席についてからであった。それでもまだ彼は、幕が上がって、ある晩のように....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
隣りの人々の笑い声やを、聞かないわけにはゆかなかった。眼には涙が出て来た。善良な
楽手たちは、それに気づいて、彼を気の毒に思った。彼らは笑い声を押えた。クリストフ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ぽうげ》がかわいく咲きそめ、年内の白い蝶《ちょう》は始めて飛び出し、永遠の婚礼の
楽手たる春風は、古い詩人らが一陽来復と呼んだ黎明《れいめい》の大交響曲の最初の譜....
「昭和遊撃隊」より 著者:平田晋策
しい岩山をよじ登り、かがり火をたいて、亡き大将らを偲《しの》んだ。 守備隊の軍
楽手が奏する悲しい楽《がく》の音《ね》が、夜の空に細々と消えて行った。 白木の....
「美音会」より 著者:佐藤垢石
た。君が代、梓弓、神路山の三番が続けて舞われる。曲は何れもおとなしいもので、かつ
楽手が皆芸人らしくない所が気持ちが良い。葭本幾野という歌手の声は、まるで場内から....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
せ、肥った独逸の腸詰王が鼾をかき出した。などと忙しく説明し乍ら女は馴染みのタンゴ
楽手のアルゼンチン人や友達の遊び女達の出入する度に挨拶の代りに舌を出したりした。....