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楽音
「楽音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
楽音の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
錆《ものさ》びた堂の内へ響き渡る少年と大人の合唱の肉声は巨大な風琴《オルガン》の
楽音と一緒に成って厳粛《おごそか》に聞えて来ていた。丁度暗い森の樹間《このま》を....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
調和と名付ける一定の厳密な法則が存在している。この規則正しい関係があたかも種々な
楽音の高さの間の関係と同様であるから、こう名付けたのである。宇宙はすべての方向に....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ているのだ。それゆえ、詮じ詰めてゆくと、結局鐘の鋳造成分を否定するか、それとも、
楽音を虚空から掴み上げた、精霊的な存在があったのではないか――と云うような、極端....
「芝刈り」より 著者:寺田寅彦
。しかしあるいはこれは聴感に対する音楽に対立させうべき触感あるいは筋肉感に関する
楽音のようなものではあるまいか。音自身よりはむしろ音から連想する触感に一種の快を....
「蓄音機」より 著者:寺田寅彦
い音波はかなり消却されるがそのかわり音が弱くなるのは免れ難いし、また同時に肝心の
楽音の音色にもいくぶんかの変化を起こすのはやむを得ないようである。そのほかに驢馬....
「映画芸術」より 著者:寺田寅彦
行く、すなわち音楽的進行を生ずるのである。 映画の一つのショットは音楽の一つの
楽音に比べるよりもむしろ一つの旋律にたとえらるべきものである。それがモンタージュ....
「試験管」より 著者:寺田寅彦
る音響をすっかり殺してしまって、その上に耳を完全にふさいで、ただ指先の触感だけで
楽音の振動をどれだけ判別できるかということを研究したものである。その結果によると....
「映画雑感(Ⅳ)」より 著者:寺田寅彦
もかすかに笛の音らしいものが聞かれた。これは映写機のモーターの唸音の中から格好な
楽音だけをわれわれの耳に特有な抽出作用によって選び出し、そうして視覚から来る連想....
「糸車」より 著者:寺田寅彦
ある。「ビーン」の部で鉄針とそれにつながる糸とが急速な振動をしているために一種の
楽音が発生するが、巻き取るときはそうした振動が中止するので音のパウゼが来るわけで....
「小さな出来事」より 著者:寺田寅彦
た。私は裏庭を左にした壁のオルガンの前に腰かけて、指の先の鍵盤から湧き上がる快い
楽音の波に包まれて、しばらくは何事も思わなかった。 涼しい風が、食事をして汗ば....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
だね、みなさん、音楽は」とかれはさけんだ。「楽師がやって来ましたよ」 「おお、音
楽音楽」といっしょの声が聞こえた。 「カドリールの列をお作り」 おどり手はさっ....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
て逃走して死刑に処せられた。不正貨幣の鋳造者は死刑に処せられた。犯罪の全音域中の
楽音を鳴らす者の四分の三は死刑に処せられた。そうしたところで犯罪防止に少しでも役....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
芒があたりに耀いはじめた。……そして、どこからともなく、「雅楽」のような不思議な
楽音がかすかに聞えて来る。やがて、文麻呂は魂を失ったもののごとく、茫然として立上....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
昇ろうと片足を段へかけられました時、その時、人々は奇異の姿に眼を奪われ、不思議の
楽音に心をとられました。――ああ、禍いはそこから来たのでござります。 女子 昨夜....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
送した。これほど彼の言葉が華麗であり、文章のリズムが煽情的で、苦悩と切諫と愛着の
楽音が、これほどロマンチックに協和したことはかつてなかった。 「悲しみのなかに微....