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横抱き
「横抱き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
横抱きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
「やっぱり消化不良ですって。先生も後《のち》ほどいらっしゃいますって」妻は子供を
横抱きにしたまま、怒ったようにものを云った。「熱は?」「七度六分ばかり、――ゆう....
「或る女」より 著者:有島武郎
と驚くらしい婆やの声が裏庭から聞こえた。と、あわてたように台所を上がって、定子を
横抱きにした婆やが、かぶっていた手ぬぐいを頭《つむり》からはずしながらころがり込....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
赤坊が眼をさました。妻が抱き上げようとすると、仁右衛門は遮《さえぎ》りとめて妻を
横抱きに抱きすくめてしまった。
「そうれまんだ肝《きも》べ焼けるか。こう可愛《め....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
を見ると、お絹は急に堪まらなくなったように、蒲団の上から滑り出してお君のからだを
横抱きにしっかりと抱えた。 「君ちゃん、堪忍しておくれよ。あたし、この頃は時どき....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、お蔦。……早瀬が来た、ここに居るよ。」 と云うと、縋りついて、膝に乗るのを、
横抱きに頸を抱いた。 トつかまろうとする手に力なく、二三度探りはずしたが、震え....
「女客」より 著者:泉鏡花
りと立って、脛白き、敷居際の立姿。やがてトントンと階下へ下りたが、泣き留まぬ譲を
横抱きに、しばらくして品のいい、母親の形で座に返った。燈火の陰に胸の色、雪のごと....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
たねえ、押入の中で、ぼうとして見えた時は、――それをね、しなしなと引出して、膝へ
横抱きにする……とどうです。 欠火鉢からもぎ取って、その散髪みたいな、蝋燭の心....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
いので、あなやと驚き、膝を突かけ、背を抱くと、答えがないので、慌てて、引起して、
横抱きに膝へ抱いた。 慌しい声に力を籠めつつ、 「しっかりおし、しっかりおし、....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
ったりした腕が柔かに動いて、脇明を辷った手尖が胸へかかった処を、ずッと膝を入れて
横抱きに抱き上げると、仰向けに綿を載せた、胸がふっくりと咽喉が白い。カチリと音し....
「鐘ヶ淵」より 著者:岡本綺堂
鯉を抱いたように生捕りにして上覧に入れようと、かれは水中に身をかわして、かの魚を
横抱きにかかると、敵も身を斜めにして跳ねのけた。その途端に、鰭で撲たれたのか、尾....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
の扉を押し開き脱兎のように走り出て、オンコッコの側へ近寄るや否ややにわにジョンを
横抱きにして林の中へ逃げ込んだ。 あっと驚いたオンコッコは、 「裏切り者だ! ....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
き、人影が道へ躍り出た。 一人の武士が白刃を下げ、空いている片手に一人の女を、
横抱きにして引っ抱えてい、それを追ってもう一人の武士が、これも白刃を提げて、跣足....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
方は知ってるかも知れないよ、」 と衝と手を袴越に白くかける、とぐいと引寄せて、
横抱きに抱くと、獅子頭はばくりと仰向けに地を払って、草鞋は高く反った。鶏の羽の飾....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
光ったんだ。……女は驚いて落ちこんだ。」 多津吉は、手足を力なく垂れた振袖を、
横抱きに胸に引緊めて、御手洗の前に、ぐたりとして、蒼くなって言った。 銅像の肩....
「天下一品」より 著者:小川未明
は思いました。彼は、財布をはたいて、五|両でその仏像を買いました。そして、それを
横抱きにして、大急ぎで村を指して帰ってきました。 家に帰ってから、背中の仏像を....