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樹上
「樹上〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
樹上の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
て撃てると思うわ」 馬車が停まると、紀久子は微笑《ほほえ》みながら立ち上がって
樹上に狙いをつけた。紀久子の戯れだった。狙いは続いた。 じっと紀久子の様子を窺....
「竹青」より 著者:太宰治
から懐中のわずかな金を全部はたいて羊肉を買い、それを廟前にばら撒いて神烏に供して
樹上から降りて肉を啄む群烏を眺めて、この中に竹青もいるのだろうなあ、と思っても、....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
だろう」と私が聞いた。 「陸に棲む沙魚なんです。蘆の根から這い上がって、其処らへ
樹上りをする……性が魚だからね、あまり高くは不可ません。猫柳の枝なぞに、ちょんと....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、その怒号と喧噪とをやめることではありません。 ただ不思議と思われるのは、高い
樹上で怒号している親鷲なるものが、なぜもっと近く、庭上、少なくとも地上まで降りて....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
が嫉妬と報復と、虐殺と勝利とに酔うた面《かお》を、蝋燭の火にかがやかして、深夜の
樹上を見上げるのだから、相当凄いものになっていなければならぬ。さてまた、それに程....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
見当もつけず片手なぐりに斬払って、其奴の片腕をばさりと落した。時に、巴旦杏の樹へ
樹上りをして、足を踏張って透見をしていたのは、青い洋服の少年です。 お綾が、つ....
「青玉の十字架」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
知られていた。彼の巨大な体躯にもかかわらず、彼は蟋蟀のように飛び、また猿のように
樹上に消え失せることが出来たのだ。それゆえ、かの大ヴァランタンがフランボー捜索に....
「花咲ける石」より 著者:坂口安吾
た。庭前には竹矢来をめぐらして試合場の用意ができていたが、実は竹矢来の外、屋上や
樹上に弓矢鉄砲を伏せ、房吉を狙い討ちにしようという作戦だ。 山崎はまず房吉を座....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
へ唇を宛たかと思うと、ヒュ――ッと風を切る音がして一筋の白光空を貫きそれと同時に
樹上の鳥はコロリと地面へ転げ落ちた。 いつもながらの精妙の手練に、三右衛門は感....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
いるのが、日想観である。海岸の樹下に合掌する韋提希夫人あり、婢女一人之に侍立し、
樹上に三色の雲かかり、正中上方一線の霞の下に円日あり、下に海中島ある構図である。....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
思議な住居を建て、隙さえあれば山野の中にただ一人で分入るのであった。 「暖国には
樹上の家、寒国には土中の室、神代には皆それであった」 土地の者にも土室が好い事....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
芽をふきだす。土をわって草がかれんな花をつけた。金粉の日をあびて小鳥が飛びかい、
樹上に胸をふくらまして千|囀百|囀する。万物がみないきいきとよみがえったのだ。そ....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
と、高慢なことを申しても和主達は駄目だ。俺がここにいるのが見えなかったろう」と、
樹上の怪人は嘲り気味に云った。 「ぐずぐず云わずとここへ降りて来い」 「降りても....
「老狸伝」より 著者:佐藤垢石
それがなかなか有力だ。毛色は真っ黒で、胸に月輪形の大きな白斑を有している。巧みに
樹上によぢのぼることができるけれど、ほかの獣類のように跳躍する術を知らないのは妙....
「迷信解」より 著者:井上円了
がごとき、いずれも笑うべきの至りである。昔、信玄が信濃に出発のとき、鳩一つ庭前の
樹上に来たりたれば、衆人これを見て勝利の前兆なりとて喜びたれば、信玄たちまち鉄砲....